ダル、日本投手史上初!開幕15戦目で10勝&100K

[ 2012年6月28日 06:00 ]

タイガース戦で7回を投げ終え、笑顔で捕手トレアルバ(左)と話すレンジャーズのダルビッシュ

ア・リーグ レンジャーズ7-5タイガース

(6月26日 アーリントン)
 歴史を塗り替えた。レンジャーズのダルビッシュ有投手(25)は26日(日本時間27日)、タイガース戦に先発し、7回を毎回の10奪三振、4安打4失点でア・リーグ最多タイの10勝目を挙げた。メジャーで日本投手が開幕から15試合の登板で10勝と100奪三振を記録したのは史上初。試合開始時の気温が39・4度という酷暑の中で、快挙を達成した。次回登板予定の7月1日(日本時間2日)のアスレチックス戦当日に発表されるオールスター戦(カンザスシティー)への選出は確実となった。

 通過点にすぎないのだろう。開幕から15試合目の登板で10勝到達。2桁という節目にも、ダルビッシュはいつものように涼しい顔だった。

 「普通の1勝。でも、一勝一勝はみんなに感謝したい。先発投手の役割は長い回を投げてチームに勝利を付けることが一番の役割だと思うので、そういう意味ではいい」

 初回1死一塁で3番・カブレラへの初球の速球が抜け、頭部への死球。指先の感覚をつかめないまま、続くフィルダーに左中間を破られ、2点を先制された。だが、ここから大崩れはしなかった。試合開始時、午後7時5分の気温は39・4度。「日本ハムの時も2軍の鎌ケ谷(千葉)はとんでもなく暑かった。そこに比べれば全然」と冗談めかしたが、マウンド上の体感温度は確実に40度を超えていただろう。猛暑ではなく酷暑。コンディション的にも我慢を要求され続けた。

 チームは苦境に陥っていた。エース右腕のルイスがこの日、右前腕部の炎症のために故障者リスト(DL)入り。すでに左肩の疲労でDL入りしている左腕ホランド、さらにフェリス、オガンドと4人も先発投手を故障で欠く非常事態となった。自らがエースとして、支えるしかない。いけるところまでいく。7回2死から対したサンティアゴを三振に仕留めると、奪った三振は毎回、さらに全て空振りで10に上った。今季通算106奪三振に、「変化球で逃げ回っていれば、取れるんじゃないですか」と笑顔でかわしたが、113球を投げ抜いた。球団広報によると、デビューから先発登板で本拠地7戦7勝は、過去50年間の大リーグでダルビッシュ1人しかいない。

 連敗でスタートした6月だが、これで3連勝。終盤でギアが上がる。普通なら苦しくなる打者との3巡目以降の対戦。15日のアストロズ戦で4者連続を含む8三振を奪い、20日のパドレス戦では1安打しか許さなかった。この日も酷暑の中で打者9人に1安打だけで4三振。どんな環境下でも戦えるスタミナを備えている証だろう。技術面についても、ロン・ワシントン監督は「ストライクからボールになるだけでなく、ボールからストライクになる球が使えている」と評した。

 だが、現状に満足することはない。07年の本塁打王フィルダーには4回に外角のカーブを逆方向の左中間に本塁打された。「僕がしっかり(相手の)弱点に対して投げ切れていない。メジャーでトップの打者にはまだまだ自分の力は及ばないと思ったし、逆に勉強できて感謝」。海の向こうに求めたレベルの高い勝負が、ダルビッシュをさらに成長させていく。

 ≪2桁勝利は10人目≫日本投手のシーズン2桁勝利は10人目で、通算22度目。1年目で記録するのは95年野茂英雄(ドジャース)、02年石井一久(ドジャース=現西武)、07年松坂大輔(レッドソックス)、10年高橋尚成(メッツ=現エンゼルス)以来5人目。

 ≪ハム次代には11試合で100K≫日本ハム時代、100奪三振に開幕から最も速く到達したのは、シーズン276奪三振を記録した昨年の11試合目。270三振以上をマークしたのは91年の近鉄・野茂(287)以来だった。

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