セ開幕も延期?文科省がナイターに“待った!”

[ 2011年3月19日 06:00 ]

 政府からナイター開催にストップがかかった。日本野球機構(NPB)の監督官庁である文部科学省は18日、加藤良三コミッショナー宛てに試合開催における節電要請を文書で通達。東京電力・東北電力管内地域でのナイター開催の自粛などを強く求めた。セ、パ両リーグは前日にセ25日、パ4月12日開幕を発表したばかりだが、これで東日本でのナイター開催、さらに東京ドームでの試合開催も事実上不可能となり、セも延期の可能性が高くなった。

 文科省・鈴木寛副大臣名で届いた通達は、厳しい電力事情を踏まえて節電を強く求める内容がつづられていた。監督官庁による「指導」と言っていい要請。それはナイターだけでなく、東京ドームの試合開催まで自粛するよう求めていた。

 11日に起こった東日本大震災。その影響による電力事情は、計画停電が続くなど深刻だ。通達には「このような状況を踏まえ、特段のご協力をお願いします」とある。具体的には(1)東京電力・東北電力管内以外の地域で試合を開催するように(2)特に同管内の地域ではナイターの開催は厳に慎むように――と要請。(1)はデーゲームでも消費電力量が多い東京ドームなどでの試合の開催を自粛するように求め、(2)で東日本でのナイター自粛を強く呼びかけている。

 17日のセ、パ開幕日程発表で、加藤コミッショナーは試合開催の3条件の一つに「政府、監督官庁の指示に従う」を掲げた。文科省の通達はまさに監督官庁の指示。加藤コミッショナーは「国策に反した試合は行わない」と明言しており、文科省の方針に従うなら、セは神宮、横浜のナイターと東京ドームでの試合は中止。25日は東京ドーム、神宮を中止しナゴヤドームだけの開催となる。

 セは都内で緊急理事会を開催。「文科省と協議して速やかに対応を決定する」と声明を出し、新(あたらし)純生理事長(ヤクルト球団常務)は「通達に全面的に従います。きのうのきょうなのですぐにこうするとは言えない。どのぐらい(開幕を)延ばせばいいかの確認を含めてやるしかない」。25日開幕を延期する可能性が高く、19日の臨時理事会で協議する。

 東京・内幸町のNPB事務局には400件を超す批判電話が殺到。午前中に文科省から前日の発表内容について問い合わせがあり、高木義明文部科学相も会見で「計画停電で国民生活が苦労している一方(ナイターで)明々とライトを使用するのに違和感があるのは当然。(試合開催方法は)非常に工夫が必要」と指摘し、その後、夕方になって通達が来た。今後はNPBを文科省との窓口として、セ、パそれぞれが対策を検討するが、極めて難しい判断を迫られることになった。

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2011年3月19日のニュース