鳥越裕介氏 控えでも「ええ顔」 中村晃の姿勢はソフトバンクのV奪回に欠かせない

[ 2024年4月9日 05:00 ]

ソフトバンク・中村晃
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 【鳥越裕介 かぼす論】中村晃は本当に“ええ顔”をしていた。3日のロッテ戦(ペイペイドーム)。1―1の9回無死の場面で代打で登場した時だ。相当、心の中に秘めたものを持っているのだと、ベンチから出てきた瞬間に伝わってきた。

 今季はチーム方針から代打での開幕となった。ずっとその姿を見ているが、チェンジになった時もベンチ前に出てチームを鼓舞する。レギュラーが控えに回った時、やらない選手が多いが、さすがだ。

 どんなに出たくても出られない選手がいる。同じ練習をして毎日、1打席あるかないかでも、やるべきことをやっている背中がある。そういう姿や、あの打席に臨む表情を見せられたらレギュラーで出ている選手は責任を感じるだろう。少々、ヒットが出なくてもへこたれるわけにはいかない。だから今季、ベンチに緊張感がある。開幕前に育成から支配下になった仲田、緒方、川村の3選手にとってもいいお手本だろう。中村晃がちゃんとしていることで「当たり前」のレベルが上がっているのだと思う。

 昔から心の中の“熱さ”は感じていた。2軍監督をしていた時、フェニックス・リーグでコーチに怒られ、顔に出した中村晃を叱ったことがある。たくさん指摘したが、その一つが「あいさつの声が小さい」ことだった。そうしたらその30秒後、外にいるコーチに向けて「お疲れさまでした!」と今まで聞いたことのないような声を張り上げてあいさつした。秘めたものがあり、自分でもその時、反省したのだろう。その姿を目にし「この選手はいける」と思った。

 活躍というのはグラウンドだけでするものではない。今季は移籍2年目の近藤が外野で好守を連発している。柳田もそう。彼ら主力にも伝わるものもあるのだろう。小久保監督もここぞの「いい場面」をずっと探していると話していた。優勝する時は必ず、こういう選手がいる。ぜひ、中村晃に注目して応援していただきたい。 (野球解説者)

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