【スポニチスカウト部(9)】千葉経大付・福井聖理 努力で才能開花 バレー部経由の異色左腕

[ 2024年4月9日 06:00 ]

高卒でのプロ入りを目標に掲げる千葉経大付・福井(撮影・村井 樹)
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 今秋のドラフト候補となる選手にスポットを当てる「スポニチスカウト部」。アマチュア担当記者の独自目線による能力分析とともに、選手たちの素顔を紹介する。第9回は、千葉経大付の左腕・福井聖理投手(3年)。異色の球歴を持つ逸材が関東No・1左腕の座、さらには高卒でのプロ入りを目標に勝負の一年に挑む。

 5年前の19年夏。中1だった福井は、バレーボールに打ち込んでいた。だが、聖地に響く金属音や歓声に心を動かされ「やっぱり野球がやりたいな」と思った。本格的に野球を始めたのは冬が終わる中1の2月から。そこから強豪・千葉経大付のエースに上り詰め、プロのスカウトも注目する左腕へと成長した。

 異色の球歴だ。小3から野球を始めたが「部員が3人しかいなくて1年で解散しました」。高松中で再び野球を始めようと考えていたが、野球部がなく「仕方がなくというか、面白そうだったので」とバレーボール部に入った。だが、野球への気持ちは簡単に忘れられなかった。19年夏に初めて甲子園を訪れ「自分もいつかここで野球をやりたいという気持ちになった」と、年明け2月に成田シニア入り。基本的なルールも分からなかったが、練習後に動画を見たり本を読んだりして頭に叩き込んだ。

 ブランクを埋めるため、一度決めた努力を中学卒業まで続けた。自宅近くにある1周700メートルの公園を毎日6周走り、練習のある週末は3リットル入りの大きな弁当箱に白米を詰めて食べ続け体をつくった。結果、複数の高校から声がかかるまでに成長。「松崎(将)監督の“一緒に甲子園へ行こう”という言葉が忘れられなくて」と千葉経大付を選んだ。

 高校に入ると才能が開花。切れのある直球とカーブやチェンジアップ、スライダーなど多彩な変化球も武器に1年秋から背番号「1」を託された。昨秋は春夏も合わせて7年ぶりに県大会で8強入り。「今年の春、そして夏は必ず優勝したい」とこの一年にかける思いは強い。

 初出場の04年夏から08年夏まで5度の甲子園出場を果たしたチームは、それ以降の出場はない。「見える世界も人生も変わる場所」と表現した甲子園のマウンドで、5年前に聞いた歓声を今度は自分が浴びてみせる。 (村井 樹)

《「負けたくない存在」まず光星洗平超えだ》
 福井が「勝手に負けたくない存在だと思っています」と語ったのが、今春の選抜に出場した八戸学院光星(青森)のプロ注目左腕・洗平比呂(3年)だ。中学時代は福井と同じ千葉県内の佐倉シニアに所属しており、大会で対戦することも多かった。当時から注目されていたが「高1から甲子園で投げて、そしてあんなに球も速くなって…」と最速147キロまで成長した姿に感嘆。「まずは洗平以上になります」と宣言した。

 ☆球歴 小3から野球を始めたが部員不足で1年で解散。高松中1年時の2月から成田シニアで再開した。千葉経大付では1年秋から背番号1。憧れの選手はソフトバンク・和田

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