ここまで5場所全て異なる力士V“戦国22年”ラスト九州の主役は?二所ノ関親方、大栄翔&翔猿に注目

[ 2022年11月13日 04:45 ]

大栄翔(左)と翔猿(ともに日本相撲協会提供)
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 大相撲九州場所は13日に福岡国際センターで初日を迎える。12日は土俵祭りを行った。横綱・照ノ富士(30=伊勢ケ浜部屋)が休場し、混戦に拍車がかかった戦国場所。本紙評論家の二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)はともに小結の大栄翔(29)、翔猿(30)の追手風部屋勢に注目。大栄翔には爆発力のある突き押しに磨きをかけ、横一線の大関候補争いから抜け出すことを期待した。

 毎場所優勝力士が違った今年も最後の場所が始まります。優勝候補と言ってもなかなか「推し」が見当たらないのも事実。誰が勝ってもおかしくない、まさしく「戦国場所」です。

 2大関も強調材料に乏しく、注目は3関脇4小結。次期大関候補がめじろ押しのなかで、大栄翔の爆発力に期待したいと思います。優勝経験もあり、はまった時の強さは現役屈指のものがあります。今場所は同部屋の翔猿が昇進し部屋には三役が2人。相乗効果も見込めます。

 勢いがつけば手がつけられなくなる半面、リズムを崩すと連敗も続いてしまいます。突き押しの宿命ではありますが、大関に近づくには安定感が求められます。「これが大栄翔」だというもの、自分の攻めに確信的なものを習得できれば、次期大関争いから抜け出すことができます。今は最大のチャンスと思って精進あるのみです。

 以前、テレビ番組で九重親方(元大関・千代大海)の突っ張りに関する「極意」を拝聴しました。激しい突っ張りからの攻めは勢い任せかとも思っていたら、物凄く研究されていて大関に上がる人は違うなと恐縮しました。攻めの強弱、手の当て方など多くの引き出しをもっていたそうで、私も現役時代に何度も痛い目に遭いました。相手の良さを消すことは相撲では大事な要素。研究してくる相手の上をいくことも大栄翔には求めたい。

 新小結の翔猿も楽しみな存在です。上位が嫌がる相撲を取ることができますし、体を密着させない手の使い方が実に絶妙。圧力もついてきたことが成績を押し上げていますし、ここ数場所の好成績が本物だということをきっと証明できるはずです。

 出場力士では番付最上位となる大関・貴景勝も優勝への思いは強いはず。安定感はありますが、このところ前半負けが込むことが目立っています。いかにして一日一日を大事にできるか。そこにつきると思います。最低2桁、最後まで優勝争いを引っ張っていってほしいものです。(元横綱・稀勢の里)

 ≪全場所違う力士Vなら91年以来3度目≫今年はここまでの5場所で全て優勝者が異なる。今場所も違う力士が制すれば、年6場所制となった1958年以降では72年、91年に次いで3度目となる(1場所中止で年5場所だった2020年を除く)。91年は琴富士と琴錦による2場所連続平幕優勝の一方、北勝海と旭富士の2横綱、霧島と小錦の2大関が賜杯を抱いた。

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