報徳学園、絶体絶命から逆転花園切符 いざ史上4校目の3冠へ「ビッグインパクト残す」

[ 2022年11月13日 06:00 ]

第102回全国高校ラグビー大会兵庫県予選決勝   報徳学園21―17関西学院 ( 2022年11月12日    神戸ユニバー )

<報徳学園・関西学院>後半ロスタイム、逆転のトライを決める報徳学園・海老沢(撮影・奥 調)
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 報徳学園が逆転サヨナラトライで宿敵の関西学院を21―17で退け、7大会連続48度目の花園出場を決めた。

 ハイライトは3点を追う後半ロスタイムだ。敵陣ゴール前右中間ラックからSH村田大和(3年)が左へ展開。SO伊藤利江人(3年)からパスを受けたエースのWTB海老沢琥珀(3年)が相手CTBを振り切り、インゴール中央左へ飛び込んだ。この時、電光掲示板の時計表示は31分56秒。激戦に終止符を打った殊勲の背番号11は「鳥肌が立ちました。目指すところは日本一。ここでつまずくわけにはいかなかった」と屈託なく笑った。

 前半はエンジンのかかりが悪く、敵陣に攻め込んでもハンドリングエラーが続出。リズムがつかめないままスコアレスで折り返すと、後半4分にPGで先制を許した。同8分にSO伊藤が、同13分にSH村田がトライ。リードを広げたが、淡泊な防御で逆に2トライを奪われ、試合をひっくり返された。ただ、ここからが報徳学園の真骨頂だった。後半ロスタイムの逆転トライは、ターンオーバーが起点。敵陣10メートル付近の左中間モールで激しく相手FWに絡んだNo・8石橋チューカ(3年)の執念が実った。その後、フェーズを重ね、石橋が敵陣ゴール前左へロングゲイン。この激走が逆転劇へと結びついた。

 報徳学園を率いて26年目になる百戦錬磨の西條裕朗監督(59)でさえ最終盤の展開に「やばいと思った」と振り返った宿敵との一戦。昨冬の決勝は52―0で圧勝し、今春の県大会決勝も52―21で大勝した相手に苦戦したが、勝ち切った意味は大きい。指揮官は「最後に勝てたところ(トライを)取り切ったところがうちの地力。一つ引き出しが増えた」と接戦をくぐり抜けた選手をたたえた。

 No・8石橋、SO伊藤、WTB海老沢ら高校日本代表候補8人を擁し、今春の選抜大会と今夏の7人制大会を制覇。今冬の花園で史上4校目となる全国3冠を狙う。「ありがたい話で、プレッシャーもない。(3冠を)狙う力はあるし、チャンスをものにしたい」と指揮官。石橋は「ここは通過点。花園で3冠をとり、全国にビッグインパクトを与えたい」と視線を上げた。いざ、史上4校目の3冠獲得へ――。激戦を経てチーム力を引き上げた西の横綱が胸を張って聖地へ乗り込む。(吉仲 博幸)

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2022年11月13日のニュース