平野歩夢 「怒り」の金から一夜…スノボ採点方法改善訴え「全てを測れるようなシステムを」

[ 2022年2月13日 05:30 ]

男子ハーフパイプで金メダル獲得から一夜明け、記者会見後に記念撮影に応じる平野歩夢
Photo By 共同

 北京五輪スノーボード男子ハーフパイプで同競技初の日本人金メダリストになった平野歩夢(23=TOKIOインカラミ)が歓喜から一夜明けた12日、メダリスト会見に臨み、採点方法の改善を訴えた。決勝では2回目に超大技「トリプルコーク(TC)1440」を組み入れたルーティンを公式戦で史上初めて通したが、91・75点止まりで、その時点で2位。技の高度化が進むスノボ界の発展を願い、現役王者として一石を投じた。

 幼い頃からの夢をかなえて一夜明け、相変わらず柔和な笑みを浮かべて「期待に応えられたのかなと思っている。皆さんに感謝している」と語った平野歩だが、競技直後に「怒り」とまで言った低評価に対する思いは変わっていなかった。「今回どこを見ていたか、改めて説明を聞くべきと思っている。スルーしない方がいい」と、ジャッジ側に説明を求める考えを示した。

 審判6人が難易度などの5項目を基に100点満点で採点し、最高と最低を除いた4人の平均が得点となるスノボHP。世界で初めてTC1440を含むルーティンを完遂した2本目は、少なくとも直前にジェームズ(豪州)が出した92・50点を上回るはずだった。だがふたを開けてみれば96、95点と高く評価した審判がいた一方、残る4人は89~92点でいずれもジェームズより下。会場ではブーイングが起き、本場米国の解説者が怒りをぶちまけるほどだった。

 HPが98年長野大会で初採用された際はパイプの高さも3メートル強で、選手はニット帽を着用していた。技術革新とエアの高回転化は4年ごとに進み、今大会のパイプの高さは7・2メートルと長野の倍以上。選手はヘルメット着用を義務づけられており、一つ間違えれば人生そのものを左右しかねない大ケガにつながる。

 だからこそ、より正当で公平な評価をしてほしい。「命を張りリスクも背負っている」という平野歩も、“カッコ良さ”を重視するスノボ独自の文化は大切にしつつも、「それはそれとして切り分けるべき。競技では高さ、グラブなどを測れるように整えていくべき」と主張。「他の競技ではあるので、全てを測れるような新たなシステムをしっかり(構築)するべき時代になっている」と訴えた。

 五輪王者となり、今後はスノボ界をリードしていく平野歩。世界中の競技者のために投じた一石が、“お上”に届くか。

続きを表示

この記事のフォト

2022年2月13日のニュース