郷亜里砂 指導者から現役復帰 34歳が北京から届けた笑顔の力走

[ 2022年2月13日 23:36 ]

北京五輪第10日 スピードスケート女子500メートル ( 2022年2月13日    国家スピードスケート館 )

<北京五輪 スピードスケート>女子500メートル決勝、滑走する郷亜里砂(撮影・小海途 良幹)
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 スピードスケートの郷亜里砂(34=イヨテツク)が、13日の女子500メートルに出場し、第10組でインスタートの郷は、反応よくスタートし、37秒983のタイムで15位だった。

 開会式で日本選手団の旗手を務め、華々しい大役を担ったが、競技人生は反対に、郷の歩みは一歩ずつだった。

 北海道別海町の出身。3歳のころから競技を始めた郷は、北海道・白樺学園高から山梨学院大に進学した。だが、国際大会での実績が乏しかったことも理由にあり、卒業時の所属先がなかなか見つからず転々とした。山口県や、北海道の企業を経て、現在の「イヨテツスピードクラブ」に所属したのは2014年。スケートが盛んではない温暖な愛媛県で、県の国体強化選手として競技を続け、指導者としても尽力し、日本スケート連盟がつくるナショナルチームの一員にもなった。

 初出場だった平昌五輪は500メートル8位。五輪後に一時引退し、本格的に指導者の道を歩んでいたころだ。愛媛県も被害にあった西日本豪雨の被災地の子供たちをリンクに招いてスケートを教えていた。子供たちの無邪気な笑顔を見ていると、いつしか楽しいという感情が芽生え、反対に競技者としての魂が氷上に戻っていくのが分かった。そして、引退してから1年後の19年に現役復帰。30歳だった前回の平昌大会で五輪初出場を果たした遅咲きの選手だが、復帰して34歳で臨む北京の舞台は「笑顔で終われる五輪にしたい」と気持ちを込めていた。

 悩んだ末に引き受けた旗手の大役も「誰もができることではないので頑張ってみよう」と挑戦心で決断した。ベテランの域に達した郷は、力走で感謝と笑顔を届けた。

 ◇郷 亜里砂(ごう・ありさ)500メートルで8位だった18年平昌大会後に引退し、19年に復帰。山梨学院大出、イヨテツク。34歳。北海道出身。

【五輪戦績】
2018年平昌 500メートル 8位、1000メートル 13位

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