競歩50キロ五輪ラスト1枠は丸尾 29歳泣けた、大会新Vで滑り込み切符

[ 2021年4月12日 05:30 ]

陸上日本選手権50キロ競歩 ( 2021年4月11日    石川県輪島市・道の駅ふらっと訪夢前発着往復コース )

優勝した丸尾は涙(撮影・吉田 剛)
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 東京五輪代表選考会を兼ねて行われ、17年世界選手権代表の丸尾知司(29=愛知製鋼)が3時間38分42秒の大会新記録で初優勝し、初の五輪代表に内定した。終盤41キロすぎに並走していた野田明宏(25=自衛隊)を引き離し、フィニッシュ。16年リオデジャネイロ五輪銅メダルを獲得した荒井広宙(32=富士通)は7位に終わり、五輪連続出場を逃した。 

 19年に行われた前回の東京五輪代表選考会に敗れてから532日。ようやくつかんだ最後の切符に、丸尾は感極まっていた。「勝てないんじゃないかと思う日もたくさんあった。泣きたくないけど、自然と泣いてしまいました」。ゴール後にチーム関係者を見つけると、こらえていたものが一気にあふれた。

 完勝で五輪を決めた。常に集団先頭でレースを展開。課題だった終盤も41キロ付近で並走する野田を置き去りにする抜群のスパートで、3人目の切符を手にした。「自分の方が余裕があると思ったので、思い切ってペースを上げた」と笑顔を見せた。

 20キロ代表に内定している同僚の山西利和(25)と一緒に勝ち取った切符だ。3月から宮崎で1カ月の合同合宿を実施。スピードに勝る山西の力を借りて、午前は40キロ、午後は速いペースで10キロという、終盤にフォーカスした練習がこの日の仕掛けにつながった。コース脇で見守った山西は「練習通りですよ!」などアドバイス。ゴール後には「また2人で高め合いたいです」と目頭を熱くした。

 京都・洛南高時代に故障したことをきっかけに競歩に転向。最初は競歩が好きではなかったというが「今は凄く好き。かけがえのないものになっている」と振り返る。ぎりぎりで代表に選ばれた分だけ、五輪への熱量はほかの誰よりも高い。「(代表を)勝ち取ったからにはメダルを目標に気を引き締めて練習していきたい」と意気込んでいた。

 ◆丸尾 知司(まるお・さとし)1991年(平3)11月28日生まれ、京都府出身の29歳。洛南高時代のケガをきっかけに長距離から競歩に転向。元々20キロの選手だったが、東京五輪を目指し17年から50キロに転向した。17年ロンドン世界選手権50キロ競歩4位。18年ジャカルタアジア大会50キロ競歩も4位。趣味はカメラ。1メートル76、63キロ。

 《“パイオニア”荒井は無念》2大会連続の五輪出場を逃した荒井は「想定していたよりもタイムが良くなかった。悔しい気持ちです」と淡々と語った。ここ2年は夏場の鍛錬期に故障が続いたといい、練習不足が響いて終盤の踏ん張りどころで失速した。今後は五輪メダルを獲得した50キロから35キロに主戦場は移る。日本競歩界のパイオニアは「このままでは終わりたくない。もう一回てっぺんに立ちたい」と自らを奮い立たせていた。

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