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W杯開幕戦最速弾が消えた…エクアドル・バレンシアのゴールが最新AI技術でオフサイド判定に

[ 2022年11月22日 04:20 ]

W杯カタール大会1次リーグA組   エクアドル2ー0カタール ( 2022年11月20日    アルホル・アルベイト競技場 )

〈カタール・エクアドル〉前半、カタールのGKシーブ(右から3人目)とエクアドルのトレス(右奥)が競った際に、エストラダ(11)がオフサイドの反則を取られた(共同)
Photo By 共同

 20日の開幕戦で、いきなり新時代のテクノロジーがさく裂した。試合開始直後、エクアドルのFWエンネル・バレンシア(33=フェネルバフチェ)がネットを揺らしたが、今大会から導入されたAIによる新技術「セミ・オートメーテッド・オフサイド・テクノロジー」でオフサイドの判定を受けた。それでもバレンシアの2得点でエクアドルが2―0でカタールを撃破。開催国の初戦黒星は史上初となるなど、まさに歴史的な一戦となった。

 史上最速の開幕戦ゴールが幻となった。試合開始後わずか2分38秒。起点はセンターサークル付近のFKだった。攻め上がったトレスが、飛び出した相手GKと競ってヘディングした球を、エストラダがつなぐ。トレスの右足ボレーがゴール前への浮き球パスとなり、待ち構えたバレンシアが頭で押し込んだ。

 鮮やかな先制劇。エクアドルの選手たちは喜んだが、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)の介入で得点は認められなかった。新たに導入された新テクノロジーにより、肉眼では確認が難しいオフサイドが判明した。

 オフサイドポジションと判定されたのは、トレスがヘディングした際のエストラダ。右足がわずかに、ゴールラインとの距離が2番目に近いカタール選手より前に出ていた。多くの場合はGKの次に最後方となる守備選手の位置でオフサイドラインは引かれるが、GKが前に出ていたためフィールドプレーヤーが最後方だった。

 今大会から導入された新テクノロジーはオフサイド判定を補助するシステムだ。スタジアムに設置された12台のカメラで選手の位置を観測し、ボールに埋め込まれたセンサーでキックの瞬間を検知。人工知能(AI)がオフサイドと判定すると、ビデオ・マッチ・オフィシャル(VMO)に連絡が入る。会場のビジョンにはオフサイドが成立した瞬間を再現した3Dアニメーションが映し出された。

 流れを変える可能性もある判定だったが、バレンシアの2得点で快勝。結果的に大会1号ハットトリックも消えたが、アルファロ監督は「スタッフは映像を5度見たが、ゴールだと言っていた。エストラダは足の爪を何とかする必要があるね。(オフサイドの位置にあったのは)ほんの少しだったのだから」と余裕のジョークを飛ばした。

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2022年11月22日のニュース