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“母国”豪州のために!難民の子マビル「役割果たす」 多民族国家を象徴、10歳でケニアから移住

[ 2022年11月22日 04:25 ]

難民キャンプ出身のオーストラリア代表・マビル(ゲッティ=共同)
Photo By ゲッティ=共同

 【Today's CHECK D組】22日にフランスとの1次リーグ第1戦を控え、4大会ぶりの決勝トーナメント進出を狙うオーストラリアで存在感を放っているのがFWアワー・マビル(27)だ。ケニアの難民キャンプで南スーダン出身の両親の間に生まれ、多民族国家を象徴する存在となっている。

 「我々の国は多文化国家という意味で世界最高。異なる背景を持つ多くの人間が国際舞台で示している。懸命に努力すればバックグラウンドに関係なく機会を与えられるんだ」

 難民キャンプでは幼い頃からサッカーに親しんだが、はだしで土の上を駆け回ってビニール袋を丸めたボールを追うレベルの話。しかし、10歳でオーストラリアに移住し、整った環境と用具で指導を受け始めると、才能を一気に開花させた。アデレードの地元ユースチームで俊足を生かしたウイングとして頭角を現し、16歳でセミプロのクラブに加入。ここでの活躍がスカウトの目に留まってAリーグのアデレードに引き抜かれ、プロとしてのキャリアが始まった。

 その後はデンマークなどでステップアップを果たし、18年にオーストラリア代表デビュー。6月に行われたペルーとの大陸間プレーオフではPK戦で成功してW杯出場にも貢献し、ここまで国際Aマッチ29試合8得点と実績を積み上げてきた。

 「オーストラリアには感謝している。家族を代表して礼を言いたい。難民の子が(W杯予選で)大きな役割を果たすことができた」

 オーストラリアは代表26選手のうち9人が国外出身。マビルは突破力を備えた左サイドの先発候補で、今季加入したスペイン1部カディスでは出番が限られているが「おかげでモンスターのように練習してきた。国のために役割を果たす準備はできている」と自信を見せる。“母国”への恩返しは世界最高の舞台で。マビルの挑戦が始まる。

 ◇アワー・マビル 1995年9月15日生まれ、ケニア出身の27歳。難民キャンプで育ち、10歳でオーストラリアに移住。本格的にサッカーを始め、地元Aリーグのアデレードからデンマーク1部ミッティラントなどを経て今季からスペイン1部カディスに加入。国際Aマッチ29試合8得点。1メートル79、65キロ。

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