「光る君へ」越前編開幕!琵琶湖ロケで“特注の舟”製作3カ月「安全第一」海より難易度高く 美術語る裏側

[ 2024年5月26日 10:00 ]

大河ドラマ「光る君へ」第21話。越前へ向かうまひろ(吉高由里子)たちが乗る舟は“特注”。今年3月に琵琶湖ロケを行った(C)NHK
Photo By 提供写真

 女優の吉高由里子(35)が主演を務めるNHK大河ドラマ「光る君へ」(日曜後8・00)は26日、待望の「越前編」がスタートする。今年3月に行った琵琶湖ロケのシーンも登場。実際に湖上に出た“特注の舟”の製作の舞台裏を美術担当に聞いた。

 <※以下、ネタバレ有>

 「ふたりっ子」「セカンドバージン」「大恋愛~僕を忘れる君と」などの名作を生み続ける“ラブストーリーの名手”大石静氏がオリジナル脚本を手掛ける大河ドラマ63作目。千年の時を超えるベストセラー「源氏物語」を紡いだ女流作家・紫式部の波乱の生涯を描く。大石氏は2006年「功名が辻」以来2回目の大河脚本。吉高は08年「篤姫」以来2回目の大河出演、初主演となる。

 第21回は「旅立ち」。藤原定子(高畑充希)が髪を下ろしたことは内裏に広まり、一条天皇(塩野瑛久)はショックを受ける。藤原伊周(三浦翔平)は任地に赴くことを拒み、逃亡。藤原実資(秋山竜次)らが捜索し、やがて見つける。ききょう(ファーストサマーウイカ)は定子を守れず、落胆。まひろ(吉高由里子)は中宮のために何かを書いてはどうかとアドバイスを送る。越前へ旅立つ日が近づき、まひろは藤原道長(柄本佑)に文を送り…という展開。

 琵琶湖ロケは3月7日に実施。越前守となった藤原為時(岸谷五朗)が都を離れ、越前に向かうため、まひろ(吉高由里子)や乙丸(矢部太郎)とともに琵琶湖を舟で渡るシーンなどを撮影した。

 美術チームの担当デザイナー・羽鳥夏樹氏(NHKアート)によると、船の土台は既存の木船を使用。大きさは長さが約8メートル、幅が約1・5メートル、高さが約1・3メートル。帆を立てると、高さは約4・5メートルになる。昨年12月中旬に発注し、製作期間は約3カ月。平安時代の雰囲気に合うよう加工を施し、実際に湖上に浮かべるため、実験検証など試行錯誤を繰り返した。

 「平安時代の絵巻はなかなかないので、少し先の時代のものになりますが、『北野天神縁起絵巻』(鎌倉時代)の海船の絵や『遊行上人縁起絵巻』(室町時代)の琵琶湖船の絵など参考にしました。こだわったのは、とにかく安全性。既存の船を平安時代風に加工して、安定感が保てるのか。バランスや重量を検討し、事前に海に浮かべて検証してロケに臨みました。当時の舟は刳船(くりぶね)といって1本の木を刳り抜いて作っているので、船首の部分などそういうふうに見えるよう加工しました」

 大河ドラマで琵琶湖に船を浮かべて撮影したのは、11年「江~姫たちの戦国~」以来13年ぶり。「当時使用した船もリサーチしましたが、経年劣化などのため安全性が保てないと判断し、全く新しい船を探さなければなりませんでした。規模だけで言えば、『平清盛』(12年)など更に大きな船を浮かべた例はありますが、その時は海での撮影。湖は海水より浮力の小さい淡水なので、船は小さくても浮かべる難易度が上がります。安全第一で収録に臨みました」と腐心。吉高が船上で琵琶を弾くこともあり、細心の注意を払った。

 「新章の始まりに相応しい、本物の風景の力を借りて、そこでしか得られない雄大な広がりのある映像が撮ることができ、とても感動しました。まひろにとっての新世界への船出を是非注目してください」

 ◇羽鳥 夏樹 日活芸術学院で映像制作を学び、フリーランスで映画やCMの現場を経てNHKアートに入社。大河ドラマの美術は「真田丸」(16年)「西郷どん」(18年)などに携わる。「光る君へ」は庶民の町などのオープンセットや東三条殿のセットを担当。

続きを表示

この記事のフォト

「美脚」特集記事

「STARTO ENTERTAINMENT」特集記事

2024年5月26日のニュース