熱烈虎党の中江有里も「アレ」をライブで体感した「理想の上司、それが岡田監督」 喜びは祝福手記に

[ 2023年9月15日 05:00 ]

甲子園球場でタイガースの優勝を祝う中江有里(本人公式X「@yurinbow」から)
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 18年ぶりリーグ優勝を果たした岡田阪神応援のため今シーズン、各地の球場を行脚するなどナマで熱い声援を送ってきた女優で作家、歌手の中江有里(49)は14日、甲子園球場に駆けつけ、歓喜の瞬間を見届けた。また、本紙に「阪神タイガースA.R.E.に寄せて」と題して祝福する手記を寄せた。

 この夏、思わぬ病で入院した私は、病室のベッドで阪神タイガースの試合を観(み)ていた。

 楽な展開の試合はひとつもなかった。何度も接戦を制し、気づけば10連勝していた。手に汗握る、観るだけで体力がいる試合ばかりだったが、あの充足感は他にはない。たまらなく心地よいものだった。

 私が真剣に阪神戦を見始めたのは昨年の開幕戦からだ。

 38年前、日本一になった時の熱狂は覚えている。なぜ人々が道頓堀に飛び込むのか、小学生の私にはよくわからなかった。

 やがて中学を卒業後、単身上京し、芸能界デビュー。その頃、妹は父の影響でファンとなり、新庄選手や亀山選手の追っかけをしていた。「いつのまに……」。ちょっと疎外感を覚えながらも、どこかで阪神が気になっていた。

 話は昨年の開幕戦へ戻る。

 試合中盤までヤクルトに大勝モードだったが大逆転負けした。

 「こんな負け方、ある?」

 あまりの衝撃に記憶はあいまいなままだ。そして、開幕から9連敗を喫したのをきっかけにハマった。全試合観るためスカパーに入り、選手のヒッティングマーチを歌いながら全力応援。50歳間近、阪神タイガースによって人生がガラリと変わった。
 で、今年である。

 15年ぶりに再登板した岡田監督の下、開幕戦では横浜DeNAベイスターズに3連勝。4月27日甲子園で行われた巨人戦は15対0の完封勝ち。一緒に現地観戦した父は「冥土の土産にする」とつぶやいた。5月に入って9連勝。毎週のように現地観戦した交流戦はさておき、7月から再び調子を上げていく。

 冒頭にも書いたが、8月はついに10連勝。そして8月16日にマジックが点灯し、9月に入って阪神はさらに強くなっていった。9連勝した5月よりもずっと盤石だ。

 思い返せば岡田監督は「勝負は9月」と言っていた。

 目の前の一試合は大事だが、目指すのは全143試合の最終盤。選手たちのそれぞれのタイトルを気にしながら登板、起用する。できすぎの理想の上司、それが岡田監督。

 今年実践した守備固定は選手がバッティングに集中できるためでもあり、徹底した「守る野球」でもあるが、別の言い方をすると一種の「働き方改革」だ。

 野球選手だけでなく、自分の力が発揮できる場所で働きたい、と考えるのは当然。役割を果たせたうえ、一つ一つの試合を勝った喜びの先に、さらに大きな褒美(A.R.E.)が待っているなら、働く喜びもひとしおだろう。

 どんなに優秀な人でも失敗しない人はいない。失点した投手に、同じような場面で登板させるなど、取り戻すチャンスを与えてくれたりもする。こうした救いが、一度躓(つまず)いた人を奮い立たせてきた。

 阪神タイガース公式YouTubeで、試合前、円陣の真ん中で原口選手が声出しをする風景が流れる。原口選手が締めに「バモス!」と叫ぶと、選手たちも続く。その雰囲気がとてもいい。

 素晴らしい選手がたくさんいても、スタメンの数は決まっている。試合よりポジション争いの方が激しいのかもしれないが、チームで目指す場所は同じ。そこに向けて力を尽くし、力を合わせることができる、それが阪神タイガースの強さ。

 そもそも長いシーズンの半分近くは負けるのだ。そうわかっていても阪神が負けると悔しくてたまらない。でも勝つと、マイナス感情はすべて帳消しに。我ながら単純。そのうえ今年はついにA.R.E.してくれた。

 一度も口にしていないあの言葉、これから何度でも言わせてや。
阪神タイガース、優勝おめでとう!!

 中江有里

 ◇中江 有里 (なかえ・ゆり)1973年(昭48)12月26日生まれ、大阪市出身の49歳。法大卒。89年、芸能界デビュー。NHK連続テレビ小説「走らんか!」ヒロイン、映画「学校」「風の歌が聴きたい」などに出演。NHKBS2「週刊ブックレビュー」で長年司会を務めた。読書に関する講演、小説、エッセー、書評も多く手掛けるなど女優、作家、歌手として幅広く活動。文化庁文化審議会委員も務める。

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