安倍元首相銃撃 警護専門家が不備を指摘「銃声が聞こえた時に避難させるのがセオリー」

[ 2022年7月9日 20:31 ]

 かつて警視庁の特殊部隊に所属し、要人警護に詳しい伊藤鋼一氏が、9日放送のNHK「NHKスペシャル」(後8・00)にVTR出演し、8日に奈良市で安倍晋三元首相が銃撃され、死亡した事件の警護体制について問題点を指摘した。

 逮捕された元海上自衛隊員の無職山上徹也容疑者は、安倍元首相の背後から近づき、数メートルの至近距離から銃撃した。伊藤氏は、容疑者が歩道から車道に出て接近している点に着目。「車道から歩道から車道に来るんですけど、不自然な行動ですよね。この時点である程度は強制力をもって(身柄確保等を)やるべきところだと思いますね」と分析した。

 映像によると、容疑者は銃を構えながら一直線に安倍元首相へ接近している。伊藤氏は、容疑者の迷いのない動きに着目。「行動的には一直線に来るわけですよね。そういう人間は本当の危険人物なので、不審…ではないですよね。テロ行為を起こそうという目的意識を持って動いているわけですよね」と、危険性を読み取った。

 容疑者が放った弾は2発。その間隔は2、3秒ほどだった。伊藤氏は「1発目の銃声が聞こえた時に、安倍元首相をここから離脱させるというか、避難させるというのは通常のセオリーなんです。必ず。必ずです」と強調。「それをやっていないというのが、私から見れば不思議だなと思いますね」と首をかしげた。

 銃社会ではない日本で起きた、要人の銃撃事件。伊藤氏は「テロ行為で亡くなるというのは日本にとっても大きな損害だろうし、個人的には悔しい思いをしますね。しっかりとした警備をやって欲しい。悔しいというか、憤りですよね」と、やるせなさを口にしていた。

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2022年7月9日のニュース