藤井棋聖に王者の貫禄 棋聖戦5番勝負「今回はタイトルホルダーの立場 気持ちは高まってきた」

[ 2021年6月6日 05:30 ]

前日会見に臨んだ藤井棋聖(撮影・郡司 修)
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 将棋の第92期棋聖戦5番勝負は6日、千葉県木更津市の龍宮城スパホテル三日月で指される第1局で開幕する。5日は同所で藤井聡太棋聖(18)=王位との2冠=、渡辺明王将(37)=名人、棋王との3冠=が対局場を検分。その後に記者会見をそれぞれ行い、タイトル戦への意気込みを熱く語った。

 野球ならば「バッチ来い!」の心境だろう。昨年は緊急事態宣言明けで東京の将棋会館が開幕の舞台とあり、前日セレモニーが全くない地味な環境で迎えたが、今回は会場内で記念手形を取り、記念植樹を行い…と一転華やかなムード。記者会見で棋聖獲得以降について尋ねられた最年少2冠は「結果を出せて成長できた一年だったと思います」とにこやかに振り返った。

 大舞台を前に、ほどよく気落ちを高ぶらせている。昨年は挑戦権獲得からわずか中3日での番勝負。「自分としてはタイトルを意識することはなかった」と、半ば丸腰で臨んだが、今年は渡辺が相手に決まった4月30日から36日間の豊富な準備期間が存在した。「今回はタイトルホルダーの立場で今日を迎え、気持ちは高まってきた。(準備は)自分なりにしっかり取り組むことができたと思います」と自信満々に言い切った。

 相手は昨年同様。しかし立場が逆転した。加えて初の防衛戦。「挑戦者と違う面はあるのでしょうけど、自分としてはそういう違いは意識せずに臨めれば」と話すなど、肩に力は入っていない。対渡辺についても「今年の名人戦も防衛され、大変充実している印象。番勝負では作戦が巧みな印象があり、そこで後れをとらないようにしっかり対応したい」と、立て板に水のごとくよどみない発言だ。終始胸を張って応える姿からは貫禄の二文字がにじみ出ている。

 シリーズを制すればタイトル保持3期となって史上最年少九段となる。4局までに決着する場合は史上最年少タイトル防衛のおまけも付く。史上空前の名勝負を繰り広げて「五輪延期ロス」の日本を大いに沸かせてからはや1年。今年も藤井の一手一手に興奮する季節がやってきた。 

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