新井浩文被告“ブチ切れ”被害女性の意見陳述書に反論「変わっているのはおかしい」

[ 2019年10月24日 05:30 ]

東京地裁を出る新井浩文被告(撮影・西海健太郎)
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 派遣型マッサージ店の女性従業員に乱暴したとして強制性交罪に問われた元俳優新井浩文(本名・朴慶培=パク・キョンベ)被告(40)の第3回公判が23日、東京地裁で開かれ、検察側は懲役5年を求刑した。新井被告は最終意見陳述で色をなして女性の主張に反論。改めて無罪を訴え結審した。判決は12月2日に言い渡される。

 計3回に及ぶ審理の最後の最後に初めて感情をむき出しにした。滝岡俊文裁判長に「最後に言いたいことは?」と求められた新井被告は「一つだけ思ったことを言います」と、怒気を帯びた声で訴え始めた。

 反論したのは、被害女性がこの日、文書で地裁に提出した意見陳述書の一部。事件当時の状況を「(新井被告に)何をされるか分からなくて思考停止し、抵抗できなかった」とする記述に対し「今まで裁判でずっと“抵抗した”と言ってきたのに、陳述書で“抵抗できなかった”に変わっているのはおかしい」と声を荒らげた。

 先月26日の被告人質問では「私」のことを「うち」と言って語気をやや強めるシーンはあったが、全体を通じて淡々とした答弁が印象的だった。この日は対照的に、女性の意見陳述書が読まれている間に顔をしかめたり、ため息をつくなど、言葉だけでなく感情を幾度も表に出した。

 示談の可能性が消えたこともその変化に影響したとみられる。

 新井被告は事件後に1000万円、起訴直前に2000万円で示談を求め、いずれも拒否された。女性は意見陳述書で「裁判で反省する姿を見てからでも(示談は)遅くはないと思っていた。しかし心の底からの謝罪がなかった。正当かつ厳しい処罰が下ることを望んでいる」と、裁判中に示談に応じる構えがあったが、それを取りやめたことを主張。新井被告としては示談の望みが断たれただけに、最後の最後になって無罪を強硬に主張したとみられる。

 検察側は論告で「(事件現場の)部屋は暗く、体格差もあり、物理的心理的に拒絶は困難だった」と指摘。「身勝手かつ自己中心的で、不合理な主張に終始している」として懲役5年を求刑。弁護側は、新井被告が女性の抵抗を著しく困難にする暴行はしておらず「罪に問われる要件は満たしていない」と改めて無罪を主張した。

 《実刑判決の確率8割》元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士は「強制性交罪の量刑は5年以上の有期懲役。示談成立など、よほどの情状酌量がなければほぼ実刑判決が下る」と指摘。被害女性が意見陳述書で示談に応じる構えがないことを訴えており「実刑判決の確率は8割」との見方を示した。

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2019年10月24日のニュース