「こち亀」秋本氏が初ビジネス本 来年は五輪であの「日暮」登場の読み切りも?

[ 2019年9月9日 05:30 ]

自身初のビジネス本「秋本治の仕事術」を出版した秋本治氏
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 2016年9月に週刊連載を終えた人気漫画「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の秋本治氏(67)が自身初のビジネス本「秋本治の仕事術」(集英社、税別1200円)を出版した。

 週刊少年ジャンプで40年間、1度の休載もなかった「こち亀」の執筆を可能にした秋本氏の、徹底したスケジュール管理、一般サラリーマンのように規則正しい生活リズムなどを紹介。秋本氏は、スポニチ本紙の取材に「担当編集者によると、かなり特殊だそうです。そんな几帳面な漫画家はいないとのことで、お話しさせて頂いた」と答えた。

 中でも熱弁したのがスケジュール管理だ。「読み切り作品を描くのが大好き」といい、その執筆時間を作るため「こち亀」1話に掛ける時間をどんどん短縮。4~5日で描けるようになっていたという。空いた時間に次週のこち亀を描き、ストックをためて行くことでまとまった時間を捻出。「来週分、再来週分と“描きだめ”ができると、読み切りを描く余裕ができた。最大で5週分の描きだめがあった。これは、こち亀が基本1話完結のギャグ漫画だから可能だった面もある」と明かした。

 “空き時間”の捻出は、新たな仕事への挑戦のほか、想定外の事態への対応、旅行など趣味の時間を持つことにもつながり、秋本氏の「時間術」の根幹となっている。ちなみにスケジュール管理に使ってきたのは、集英社の社員手帳。担当編集者から毎年手渡されてきたという。

 「こち亀」がジャンプでの週刊連載を終えてから3年。最近になって“こち亀ロス”を感じ始めたこともつづっている。今年初め、原画を大量に目にする機会があり「こち亀が自分の手から離れていくような感覚」を味わったという。「スクリーントーンの貼り跡や、消しゴムを入れた箇所を見て、執筆当時を思い出しました。そんな時、連載当時なら“次はこうしよう”などと思いましたが、もう“次”が簡単には来ないんですよね」としんみり。

 「こち亀」の週刊連載終了後は、「BLACK TIGER ブラックティガー」「Mr. Clice ミスタークリス」「いいゆだね!」「ファインダー ―京都女学院物語―」の4作同時連載をスタートし始め、現在も「BLACK TIGER」と「Mr. Clice」を連載中。「こち亀」も新作読み切り3本を、ジャンプ本誌などに発表してきた。「秋本治の仕事術」にも2ページの作品を描いており「両さんは、体の中に染みこんでいるし、自分の中でかなり動いています」と、今後も読み切りなどで描き続ける意向だ。

 来夏の東京五輪・パラリンピックに向け、「こち亀」新作の構想も膨らんでいるそうで「僕の中で『日暮』が動き始めて、どうすればいいか考えている。まだ描く場所(媒体)も決まっていないんですけどね」と笑顔。1980年モスクワ五輪から五輪イヤーになると登場する名物キャラクター「日暮熟睡男(ひぐらしねるお)」のエピソードを温めていることを明かした。

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