高杉真宙 役作りの原点は漫画の世界 蔵書1500冊超の“ガチオタク”

[ 2019年3月31日 11:00 ]

ドラマ「賭ケグルイ」などでの活躍が目覚ましい高杉真宙(撮影・西尾 大助)
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 【カレイドスコープ】若手実力派俳優として活躍の場を広げる高杉真宙(22)の素顔は、自他共に認める漫画オタク。スポ根、ラブコメ、ヒューマンドラマとジャンルを問わず作品を読み込んだ経験が、演技のベースになっている。好きだからこそ敬遠していた漫画原作の実写化にも挑戦し、今ではキャラクターを演じられることに幸せを感じている。

 自宅には1500冊以上の漫画がずらりと並び、手に取らない日はない。仕事の時にも持参したり、空き時間にスマホでWEBコミックを読んだり、休みの日は一日中家にこもって没頭することもある。ウェブサイト「幻冬舎plus」でも「漫画喫茶・タカスギへようこそ」という連載を持つほどプライベートは漫画一色だ。

 社交ダンスが題材の「ボールルームへようこそ」、広告代理店が舞台の「左ききのエレン」など好きな作品を挙げればキリがない。「どれも自分の人生にはない物語ばかりなので好きです」。

 出演する4月期のTBSドラマ「賭ケグルイ season2」(2日スタート、火曜深夜1・28)は同名人気漫画が原作。もちろんドラマ化が決まる前から原作を読んでいて、高校生がギャンブルで学内での階級を決めるという内容に「ドラマにできるとは思っていなかった」と語る。

 漫画好きだが、実写化への出演はこれまでできるだけ避けたいと思ってきた。「台本に忠実に演じたいという思いと、頭の中で出来上がっている原作のキャラクターのイメージに折り合いをつけるのが難しい」。実写化に対して原作ファンから批判的な意見が出ることもあり「その気持ちもよく分かるので、責任を重く感じていました」と距離を置いてきた。

 英勉監督が手掛けた昨年1月の賭ケグルイのシーズン1に出演し、シーズン2放送中の5月3日には劇場版が公開。「この作品でドラマの台本を守りながら、可能な限り原作に近づけていくことができた。アニメファンがコスプレをするのと同じで漫画の中のキャラクターを演じられるのは楽しい。これからもっと挑戦していきたいなと思います」と、実写化への意欲を口にした。

 幼少期から漫画だけでなく、アニメやゲームが好きなインドア派だった。「朝起きてアニメ。学校から帰ってきてアニメ。寝る前に漫画みたいな生活でした」と笑う。小学6年の時にスカウトされて芸能界入りした際は、「ドラマは全く見ていなかったので俳優が何をする仕事なのか、ほとんど分かっていなかった」という。13歳で舞台デビューし、演技の世界に足を踏み入れたが「楽しいともあまり感じていなくて、迷惑を掛けないように、それなりの全力でしかやっていなかった」と振り返る。

 転機となったのはオタク男子を演じた14年の映画「ぼんとリンちゃん」。稽古に3カ月、撮影に2カ月と長い期間を費やし「初めて役作りと向き合った」。印象に残っているのは小林啓一監督(47)に連れて行かれた東京・秋葉原のグッズショップだ。カメラを回さず客に扮してせりふを言う練習を行い「雰囲気や周りの人を気にしたり、実際にどういう気持ちになるかを知って、演技はこうやってできていくのかと学びました」と、役者の面白さに気付いた。

 場面ごとにどんな気持ちになるかを想像して役作りを行っていく上で、漫画で何百、何千というキャラクターの生きざまを読み込んだ経験が糧になっている。演技の評価も上々で昨年は連ドラ2本、映画5本に出演。今年2月公開の主演映画「笑顔の向こうに」が昨年のモナコ国際映画祭で最優秀作品賞を受賞するなど存在感は増すばかりだ。

 「先のことはあまり考えられないんですけど、監督さんやスタッフさんに、“また仕事がしたい”と思ってもらえる俳優でありたいと思います」

 新進気鋭の22歳。2次元に影響を受けたリアルな演技でキャラクターに魂を吹き込んでいく。

 ≪劇中の“顔芸”が話題に≫「賭ケグルイ」は、生徒がギャンブルで階級を決める高校に転校してきた主人公が大金を賭けたゲームに挑む物語。高杉は主人公に付き添うクラスメート役で出演する。主演の浜辺美波(18)らとともに、興奮や驚きで表情を崩して叫ぶ演技は視聴者から“顔芸”と呼ばれるほど。昨年8、9月の撮影では「英監督が毎朝“今日は何やってくれるの?”と聞きに来る。1カ月半くらい、毎日どんな顔をしてやろうか考えていました」と笑った。

 ◆高杉 真宙(たかすぎ・まひろ)1996年(平8)7月4日生まれ、福岡県出身の22歳。09年に舞台「エブリ リトル シング’09」でデビュー。17年に映画「散歩する侵略者」で毎日映画コンクールのスポニチグランプリ新人賞を受賞。FOD配信ドラマ「高嶺と花」に出演中。1メートル70、血液型A。

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