名作「キャプテン」続編、4月スタート 漫画の可能性を広げる挑戦に期待

[ 2019年3月31日 15:45 ]

 1970年代を代表する野球漫画の名作「キャプテン」の続編が、漫画誌「グランドジャンプむちゃ」で連載される。タイトルは「キャプテン2」で第1話は、4月24日発売号に掲載される。

 原作者のちばあきお氏は1984年に亡くなっており、描くのは「グラゼニ」「江川と西本」などの野球漫画を連載中のコージィ城倉氏だ。城倉氏は「キャプテン」のスピンオフ作品で、ちば氏の「プレイボール」も“復活”させて2017年から「プレイボール2」を連載している。

 亡くなった漫画家の作品を、別の漫画家が描くのはしっくりこないという意見はある。一方で、最終回の続きをあれこれ想像するのも漫画の楽しみ方の1つであり、この議論が解決することはないかもしれない。

 ちなみに「プレイボール」の復活は、城倉氏側から申し出たものでなく、ちば氏の遺族の要請から始まったものだ。

 城倉氏によると「プレイボール2を描き始め、いずれはキャプテン2も描いてみたい」と考えていたそうだ。今回の「キャプテン」再開について「4代目キャプテンの近藤に代わって“脱スポ根”という考えが見え始めたところだった。ちば先生の思いを自分なりに昇華させて描きたい」と意気込んでいる。

 確かに、谷口、丸井、イガラシと続いた先輩キャプテンらを中心とする「墨谷二中」野球部は、限界まで自分を追い込む少数精鋭集団で、常に汗まみれ泥だらけで野球をしていた。それこそが“ちばあきお漫画”の感動ポイントだったが、4代目の近藤は、先輩キャプテンと違ったチーム作りを考えていた。より多くの選手を使おうとしたり、緻密で長期的な練習計画を立てるなどしていた。

 だが「キャプテン」が新たな局面に入り始めたその矢先、ちば氏は連載を終えてしまった。当時、ちば氏は週刊少年ジャンプで「プレイボール」を、月刊少年ジャンプで「キャプテン」を描いており、肉体的にも精神的にも疲弊していたという。

 漫画家には1度に多くの作品を描くタイプと、少ない作品をじっくり描くタイプがある。ちば氏は“じっくり型”で、2作品の並行連載に疲れていたようだ。一旦「キャプテン」を終わらせ、数年後に再開させる意向があったとも言われているが、残念ながら近藤の“脱スポ根キャプテン”が描かれることはなかった。

 亡くなったちば氏の本当の思いを知ることはできない。ただ、スポ根全盛の70年代後半に、“次の時代”を模索する「キャプテン」を読みたかったとも思う。「キャプテン」「プレイボール」とも、今も読者の熱量が高い作品でハードルは高いが、漫画の可能性を広げる挑戦として期待している。(記者コラム・岩田 浩史)

続きを表示

2019年3月31日のニュース