辻一弘さんにオスカー!日本人初メーキャップ賞、個人25年ぶり

[ 2018年3月6日 05:30 ]

米アカデミー賞でメーキャップ&ヘアスタイリング賞を日本人で初めて受賞した辻一弘氏(AP)
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 米映画界最大の祭典、第90回アカデミー賞の発表・授賞式が4日(日本時間5日)、米ハリウッドで開かれ、メーキャップ・ヘアスタイリング賞に「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」の辻一弘さん(48)ら3人が選ばれた。日本人の同賞受賞は初めて。映画界を引退し芸術家に転身していたが、主演のゲイリー・オールドマン(59)の熱いラブコールで一時復帰し栄誉に輝いた。

 辻さんはプレゼンターが作品名を読み上げると、少し緊張した面持ちで登壇。オスカー像を手にすると「まずはゲイリー・オールドマンさんに心から感謝します」とスピーチを始めた。

 チャーチル元英首相の首相就任からダンケルクの戦いまでの27日間を描く作品で、オールドマンを特殊メークでチャーチルそっくりに変身させた。2012年に映画界を引退し、特殊メーク技術を生かした肖像彫刻の芸術家に転身したが、実在の人物と驚異的にそっくりな辻さんのアートを見たオールドマンから企画段階で「あなたが引き受けてくれなかったら、私はこの映画に出ない」と直々にメールで口説かれた。

 辻さんは京都市出身で米ロサンゼルス在住。10代から特殊メークを独学で学び、米国のメーキャップの巨匠ディック・スミス氏と文通で師弟関係を築くなど、ハリウッドへの道を独自で開拓した。

 オールドマンからのメールを受け1週間悩んだ末、「本人から頼られるのは光栄なこと」と参加を決めた。楕円(だえん)形の顔のオールドマンをぽってりとしたチャーチルに仕立てるため、顔に張るシリコーンの柔らかさや形など約半年間試行錯誤。ハイレベルな仕事で、オールドマンを初の主演男優賞に導いた。

 米アカデミー賞の候補入りは07、08年に次いで3度目。日本人の個人での受賞は、14年に名誉賞を受けた宮崎駿監督(77)をのぞくと93年に「ドラキュラ」で衣装デザイン賞を受賞した石岡瑛子さん以来25年ぶり。

 スピーチでは会場のオールドマンに「あなたとこの素晴らしい旅をできたことは本当に栄誉なことでした。あなたは素晴らしい俳優で熱心なアーティストで真の友人です」と語り掛けた。辻さんのメークでオールドマンが迫真の演技を見せる同作は、今月30日から日本で公開される。

 ◆辻 一弘(つじ・かずひろ)1969年(昭44)5月25日、京都市生まれの48歳。龍谷大平安高時代、洋画雑誌でディック・スミス氏がメークで俳優をリンカーン元大統領に作り上げるのを見て特殊メーク業界を志す。高校卒業後に上京し、黒沢清監督「スウィートホーム」(89年)などに参加。96年「メン・イン・ブラック」の現場で働くため渡米。07年に「もしも昨日が選べたら」、08年に「マッド・ファット・ワイフ」で米アカデミー賞メーキャップ賞候補。「猿の惑星 PLANET OF THE APES」などにも携わった。

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