ヤクルト・長岡 両軍合計11発の乱戦締めた「人生初」サヨナラ弾 予想外?1号に“祝福の水”間に合わず

[ 2023年5月6日 05:30 ]

セ・リーグ   ヤクルト10-9DeNA ( 2023年5月5日    神宮 )

<ヤ・D>9回、サヨナラ2ランを放つ長岡(撮影・光山 貴大)
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 こどもの日の夢いっぱいの11本のアーチが神宮にかかった。ヤクルト・長岡秀樹内野手(21)が5日、セ・リーグ記録にあと1本と迫る両軍計11本塁打が飛び出したDeNA戦の9回に逆転サヨナラ1号2ラン。空中戦を人生初のサヨナラ弾で締めた。チームは昨年8月27日のDeNA戦以来の1試合6発。こどもの日の連敗を6で止め、同率3位に浮上した。

 夢見た“びしょびしょ”にはなれなかった。長岡がホームベース付近にできた歓喜の輪に笑顔で飛び込む。「人生初」のサヨナラアーチ。お決まりのウオーターシャワーが待っているはず…。だが、ユニホームは乾いたまま、手荒い祝福だけ受けた。

 「水かけられるの憧れだったんですけど、“予想外すぎて準備してなかった”って言われました。“風のおかげだぞ”と褒めてもらえませんでした」

 ツイッターで「神宮花火大会」がトレンド入りするなど神宮の9回まででは最多タイの計11発が飛び交った空中戦。フィナーレは、長岡だった。

 8―9の9回2死一塁。守護神・山崎のスプリットを思い切り振り抜いた。「(直球を)センターに打ちにいくことを意識していた分、落ちるボールにも反応できた」。舞い上がった打球は約10メートルの風に乗って右翼席に着弾した。本塁から中堅方向に強風が吹き続けた一戦。サンタナの先制ソロ、村上と中村の2戦連発、浜田の2発に続く1号2ランで今季2度目のサヨナラ勝利を決めた。

 レギュラー定着2年目の21歳。開幕から全試合に遊撃でスタメン出場も、試合前で打率・167。「毎日、いいバッターの動画をひたすら見たり」と師と仰ぐソフトバンク・中村晃や近藤、栗原、レッドソックス・吉田ら同じ左の好打者のフォームを見て試行錯誤。3日の巨人戦からは青木から譲り受けたバットを使用。「ちょっと太いけど自分には合っているのかな」と3戦で12打数6安打と上昇気配だ。「しっかり守ってくれる。打てなくても外せなかった」と起用し続けてきた高津監督の期待にも応えた。

 今季初の2桁10得点で最大5点差からの逆転勝利。DeNA戦の連敗を4で止め、こどもの日の連敗も6で止めた。球場に集まった子供たちに長岡は「たくさん練習して、たくさん寝ること」とメッセージを送った。「ちょっとは憧れてくれたかな」。人生初のサヨナラ弾は、たくさんの人々の「こどもの日」の思い出になった。(青森 正宣)

 ≪16年ぶり9回までで両軍合計11発≫ヤクルト―DeNA戦は両軍合計11本塁打。9回までで両軍合わせて11本塁打以上は07年7月11日のヤクルト―広島戦(9回11本、延長11回で12本)以来16年ぶり。9回のサヨナラ本塁打で決着したのは90年9月9日の西武戦で門田博光(オ)が逆転満塁弾を放って以来33年ぶりだ。なお、前記のヤクルト―広島戦では同点の延長11回にラミレスがサヨナラ弾を放っている。

 ▼ヤクルト・浜田(5回に左越え3号ソロ、8回に左越え4号3ランの今季初の1試合2発)自分でもびっくりしました。塩見さんも帰ってきたので、なんとか少ない打席でアピールしようという思いでした。

 ▼ヤクルト・中村(8回に今季初の2戦連発となる左越え3号ソロ)塁に出ることを考えて打席に入りました。一番いい結果になってくれました。

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