中日・福 ウイニングボールは執刀医へ感謝を込めて「すぐ送ります」 国指定の難病乗り越え復活1勝

[ 2023年5月6日 05:00 ]

セ・リーグ   中日8ー3巨人 ( 2023年5月5日    バンテリンD )

<中・巨>復活の白星を挙げた福は,、最後を締めた祖父江からウイニングボールを受け取り深々と頭を下げる(撮影・椎名 航)
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 いるべき場所に戻ってきた。白星までついた。中日・福にとって23年の「こどもの日」は生涯忘れられない日となった。2―3の8回、大歓声に迎えられて登板。1安打無失点に抑え逆転を呼んだ。

 「ブルペンからマウンドに上がる時に本当にいろんなことを考えた。やっぱり感謝の心が最初に出てくる」

 昨年9月17日ヤクルト戦で左足の違和感を発症。国から難病指定される「黄色じん帯骨化症」と診断された。下半身がしびれ、一時は歩行も困難。10月末に福島県立医大で同症状の権威、加藤欽志医師の手術を受け、たどり着いた230日ぶりのマウンドだった。

 「正直(後遺症が)全くないと言えばウソになるけど、野球をやるには全く問題ない。加藤先生には感謝しかない。ウイニングボールは先生にと決めていた。帰ったら宅配便を呼んですぐ送ります」

 DeNA・三嶋は同じ病気から復帰後初めて本拠地で投げた4月9日の中日戦で左翼席の中日ファンに投げ込んだサインボールに「福投手もきっと大丈夫」と書き込んだ。伝え聞いた福は三嶋と同学年の福谷を通じてすぐに連絡。呼応するように「もう大丈夫」などと書いた3つのボールをスタンドに投げ入れた。まだ気温差などで違和感や怖さが出ることもある。1軍マウンドが何よりの良薬。これまで以上の感謝の心を胸に秘め、今後もチームのために左腕を振り続ける。(山添 晴治)

 ◇福 敬登(ふく・ひろと)1992年(平4)6月16日生まれ、兵庫県出身の30歳。神戸西(現須磨翔風)からJR九州に進み、15年ドラフト4位で中日入団。17年オフに左肩痛の影響で育成契約となり、翌18年7月に支配下に復帰。20年は5勝5敗25ホールド、2セーブ、防御率3・55で最優秀中継ぎ投手。1メートル81、98キロ。左投げ左打ち。

 ▽黄色じん帯骨化症 脊髄の後ろにある椎弓と呼ばれる部分を上下につなぐ黄色じん帯が骨化して脊柱管が狭くなり、神経の圧迫症状が出現する国指定の難病。左右不均衡に体を曲げる投手に多いともいわれる。DeNA・三嶋は昨年8月に手術を受けて今季開幕1軍入り。4月1日に復帰登板し、3勝を挙げている。

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