阪神ミエちゃん 天国の父にささげるデビュー戦来日1号「きっと見てくれていたと思う」

[ 2023年5月6日 05:15 ]

セ・リーグ   阪神5ー0広島 ( 2023年5月5日    マツダスタジアム )

<広・神>鯉のぼりをふるミエセス(撮影・岸 良祐)
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 確信の一撃だ。阪神・ミエセスが合流即の先発起用に豪快なアーチで応えた。3打席目だった6回1死、左腕・塹江の141キロフォークを捉え、左中間2階席の後方まで運んだ。日本と母国・ドミニカ共和国の子供たち、そして天国の父にささげる来日1号だった。

 「きっと天国で見てくれていたと思う。人生で一番素晴らしい人だった。このボールもドミニカに持って帰り、父にあげたい」

 悲しい別れを経験した。鳴尾浜で昇格に向けて2軍戦に取り組む中、父の訃報が届いた。「身内の不幸」という形の球団発表で4月9日に緊急帰国し、同20日に再来日。「いろんなことがあってメンタル的にも厳しく、コントロールできないこともあったけど、今日は凄くうれしい一日になった」と初本塁打と勝利を心から喜んだ。

 見せたのはパワーだけではない。4回は秋山の右中間への飛球をフェンス手前でランニングキャッチ。帽子を飛ばした120キロの巨体はそのままフェンス沿いを疾走。「しっかり守ろうと集中していたんだ」。トレードマークの黒と黄色のタイガースカラーのドレッドヘアを揺らした。

 岡田監督は「気合が入りすぎやから、あんまり入れるなと言うたんや」と明かし、「不幸は想定外やったけど、チームにとっても大きな一発よ」と開幕から6人目を数えた先発右翼の人材に期待を高めた。一時帰国の前日の2軍戦では3安打。ミエセスは「それを監督はちゃんと見てくれていたんだ」とモチベーションとし、「これからもみんなで元気を出して勝つ」と語気を強めた。(鈴木 光)

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