海星・田川一心主将 まるで「タッチ」 主将と応援部部長の約束「俺も頑張るけん。甲子園連れて行くけん」

[ 2023年3月28日 05:00 ]

第95回選抜高校野球大会第8日・3回戦   海星2-3広陵 ( 2023年3月27日    甲子園 )

<広陵・海星>7回、味方の失策で勝ち越しを許した吉田(左)を励ます海星・田川(撮影・北條 貴史)
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 【素顔で君にアイラブユー】1点差の惜敗、広陵に敗れた海星ナインが、一塁側のアルプス席前に並んだ。田川一心主将(3年)の「礼!」の合図で応援席へ感謝のあいさつ。その姿を拍手で称えたのは、田川主将と海星中で同じクラスだった応援部部長の水谷梨乃さん(3年)だった。

 この日の甲子園と同じように、春風が教室に吹き込んでいた中3の4月。海星に進学予定だった2人は、休み時間に談笑していた。すると、田川が唐突に「お前が応援部入るなら俺も頑張るけん。甲子園連れて行くけん」と水谷さんに宣言。人一倍、自主練習に励む姿を知っていた水谷さんも、それまでピアノ一筋だったが、その一言で応援部に入部することを決意。「自分も夢に向かって頑張る支えになりたい」。漫画「タッチ」のような約束だった。

 田川は2年夏に初めて甲子園出場。かなえた約束は、いつからか「出場」から「優勝」に上方修正した。昨秋の新チームから主将の大役を任された同じ頃、水谷さんは応援部部長に就任。グラウンドと応援席で部員を率いる2人は今春、コロナ下の規制が解け、声出し応援が4年ぶりに解禁となった甲子園に戻ってきた。

 漫画のように「タッちゃん」とは呼ばず「田川」、「水谷」とドライに呼び合う。3回戦で敗れたが、2度も約束を守った自慢の友達に「田川にしかできないこと。絶対に言ったことは破らない」と水谷さん。青春ど真ん中の2人。次の目標は3度目の約束の夏だ。(柳内 遼平)

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