エンゼルス・大谷 ピッチクロック対策“時短ルーティン”でカーショー撃ち

[ 2023年3月28日 02:30 ]

オープン戦   エンゼルス0-3ドジャース ( 2023年3月26日    ロサンゼルス )

<ドジャース・エンゼルス>4回、安打を放つ大谷(撮影・会津 智海)
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 エンゼルスの大谷翔平投手(28)が26日(日本時間27日)、ドジャース戦に「3番・DH」で出場。WBC後の打者としての初戦で、メジャー通算197勝の左腕クレイトン・カーショー投手(35)から痛烈な右前打を放った。今季から導入される投球間の時間制限「ピッチクロック」対策として、打席内で右足のかかとで左足の爪先を触れるお決まりの動きを省略。“時短ルーティン”で難敵相手に結果を残した。

 打席に足を踏み入れ、すぐにバットを立てて構えた。4回2死。大谷はサイ・ヤング賞3度のカーショーの初球を逃さなかった。

 「学生時代から見てきた。タイミング(をずらす技術)とコマンド力(制球)が一番。一球一球の再現性が高く、投手として完成度は断トツ」。そう評していた左腕の高めスライダーを捉えると、鋭い打球があっという間に一、二塁間を抜け、右前で弾んだ。

 昨季まで、打席内で右足のかかとで左足の爪先をトン、と触れてから構えていた。今春から、その動きを省いた“時短”に取り組んでいる。メジャーでは今季から投球間の時間制限「ピッチクロック(走者なしで15秒、ありで20秒)」が設けられ、打者も残り8秒までに打つ準備を整えなければ1ストライクが宣告されるからだ。

 大谷は新ルール対策について「頭の回転を速くして、早めに切り替えてやらないといけない。考え方の部分で立ち遅れないように」と話しており、しっかり適応。WBC前のオープン戦2試合、WBCでの9試合(強化試合含む)に続き、今春に打者として出場した全12試合で安打を放っている。初回の第1打席は公式戦で通算8打数無安打と苦手のカーショーのスライダーに空振り三振。同じ球種を攻略した。

 一時は米国代表に選ばれながら、負傷歴を理由に保険加入ができず参加を断念せざるを得なかったカーショーとの“幻のWBC対決”だった。3度目の対決となった6回は、1ボール1ストライクから35歳左腕が投球間の時間制限を超過し、ボールを宣告された。カーショーは「違反に値する。(一時的に)時計表示が消えたが、動き続けていたのだろう」と反省。大谷はアウトにこそなったものの、直後の3球目を捉えて右翼フェンス手前まで大飛球を運んだ。

 高速道路で約1時間の距離に位置する両球団による対戦「フリーウエー・シリーズ」。WBC決勝で米国を倒して侍ジャパンを3大会14年ぶりの世界一に導いた主役は、敵地ドジャースタジアムでも大歓声を浴びた。

 昨季よりも1インチ(約2・54センチ)長くし、現役の日本選手では極めて異例の長さである34・5インチ(約87・6センチ)の新バットに加え、新たな“時短ルーティン”も備えたメジャー6年目。残り2試合のオープン戦を経て、30日(日本時間31日)の開幕・アスレチックス戦に先発投手として二刀流出場する大谷に、死角は見当たらない。(柳原 直之)

 ≪昨夏の球宴で安打≫打者・大谷とカーショーとの対戦は、公式戦では20、21、22年に計3試合、8打席対戦して8打数無安打、3三振。大谷が完璧に抑えられている。しかし、直近の顔合わせである昨夏の球宴では初回、1番打者として「初球をフルスイング。それだけ」と英語で予告し、初球の91マイル(約146キロ)直球にバットを折られながら中前打。次打者ジャッジの3球目の後、一塁へのけん制球で刺されるオチがついた。

 ▽ピッチクロック 今季から試合時間短縮のために大リーグで導入。投手は捕手から球を受けてから、走者なしの場合は15秒、走者ありの場合は20秒以内に投球動作を始めないと1ボールが宣告される。また、打者は残り8秒までに打つ準備を整えなければ、1ストライクが宣告される。

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