【スポニチ本紙評論家セ・リーグ順位予想】最多11人が岡田阪神の「アレ」推し 13人が巨人Bクラス

[ 2023年3月28日 05:30 ]

阪神・岡田監督
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 ヤクルトのリーグ3連覇か、それとも新生岡田阪神か――。今週末、いよいよ開幕する2023年のプロ野球。スポニチ評論家陣24人が、今季の両リーグの行方を占った。前編はセ・リーグ編。田淵幸一氏(76)は岡田阪神の戦力充実を高く評価した。一方で半数を超える13人が、巨人のBクラスを予想した。

 【田淵幸一氏、阪神ドラ1・森下が走攻守で楽しみ】05年以来18年ぶりの優勝へ、阪神は岡田監督が就任して機が熟した。前回Vの指揮官でもあり経験は豊富。03年には星野監督のもとで私がチーフ打撃コーチ、彼が内野守備走塁コーチと一緒にユニホームを着た。堅実な一方、思い切りが良く冒険心にも富んでいる。そして、信念を持って選手を起用する。岡田彰布はそんな男だ。

 信念でいえば打順が固定される4番・大山、5番・佐藤輝が指揮官の期待に応えられるかが最大のポイントだ。近本、中野の1、2番は出塁率が高い。中軸の働きが得点力に直結する。特に3年目を迎える佐藤輝には飛躍してほしい。昨季はリーグ5位の489得点。優勝したヤクルトとは130得点もの差があった。得点力アップは必要不可欠で、大きく貢献しそうなのがドラフト1位・森下。バットを思い切り振る一方でボールを見極める選球眼がいい。足も肩もある。走攻守で楽しみな存在だ。

 昨季、リーグ1位の防御率2・67だった投手陣は健在。先発陣は駒が豊富で、試合終盤のリレーもWBCに出場した守護神・湯浅を中心にレベルが高い。対抗はリーグ2連覇中のヤクルト。こちらは抑えのマクガフが退団し、清水、ケラら候補の中で誰が代わりを務めるかに注目したい。主砲・村上、山田、オスナらを擁する打線は阪神より上。チームの安定感は阪神と双璧だろう。

 勢いに乗れば面白いのがDeNAだ。エース・今永を中心に先発陣の顔ぶれは多彩。超大物のバウアーも加わった。打撃はもともと破壊力を秘め、昨季数字を残せなかったオースティンが復活すれば脅威の打線になる。あと一つ、優勝へは「隠し味」のようなものがほしい。それが三浦監督の采配になるのか。楽しみだ。

 Bクラスに予想した巨人は過渡期を迎えている。これまで中心選手として長くチームをけん引してきた菅野、坂本、丸らに続く若手の台頭が不可欠。ニューカマーで新たな風を吹かせたい。
 WBCで大いに盛り上がった日本列島。侍ジャパンのパワーに負けないよう、選手には頑張ってほしい。「プロ野球、面白いぞ!」。そんな白熱のシーズンを期待している。

 ≪「平均値」も阪神トップ4.92点≫スポニチ評論家24人によるセ・リーグの順位予想で「平均値」を算出した。1位=6点、2位=5点、3位=4点、4位=3点、5位=2点、6位=1点で計算。トップは阪神の4.92点だった。1位に予想した評論家もトップの11人。リーグ3連覇を狙うヤクルトの平均値は2位の4.58点で、1位予想は4人。3位・DeNAの3.67点と4位・巨人の3.54点は0.13点差の接戦。6位は広島で1.88点だった。

 【張本勲氏、ヤクルト投打に安定感】ヤクルトは投打に安定感があり、リーグ3連覇へ向けて着実に白星を積み上げるだろう。巨人は中軸の岡本和、中田翔のタイトルを獲るような活躍が必須。投手陣はやや厳しいか。阪神は経験豊富な岡田監督の采配に注目。こちらも大山と佐藤輝の中軸2人が打線の鍵を握る。中日、広島は下位予想だがどんな野球で暴れてくれるか楽しみ。広島・新井監督は選手を信頼し、純粋に野球に取り組んでいる。どんなチームをつくり上げるか期待する。

 【有藤通世氏、阪神が得点どこまで伸ばせるか】投手の失点、打者の得点力で判断した。阪神は昨季、12球団最少の428失点で防御率もトップの2・67。新人・森下らの加入で昨季リーグ5位だった489得点をどこまで伸ばせるか。ヤクルトは村上擁する打線は12球団トップクラス。巨人はオープン戦不調の坂本が機能しないと苦しいか。DeNAもAクラスに入る力は十分にある。広島も先発陣が踏ん張れば上位進出の可能性はあり、中日とともにリーグをかき回すことを期待したい。

 【東尾修氏、巨人・菅野は不安も若手に期待】巨人が落ち込みに歯止めをかけ、プライドで優勝を奪還すると見る。菅野は不安だが、ビーディら新外国人と横川ら若手が先発に入ってくれば十分戦える。ヤクルトは抑えと先発の枚数不足が課題だが、村上を軸とした打線の破壊力で巨人の対抗馬になる。3位は投手陣を整備した阪神。抑え候補の湯浅がWBCで自信を得たのは好材料。4位はDeNA。新加入のバウアー次第で上位進出もある。中日、広島は戦力底上げにまだ時間が必要。

 【中畑清氏、阪神・岡田監督が手腕発揮する】投手陣が充実している阪神が有力。抑えも湯浅で十分いける。課題は攻撃陣だけど、そこは岡田監督の手腕が期待される。佐藤輝を三塁、大山を一塁に固定し、中野を二塁へコンバート。鳥谷をショートに入れ、藤本を二塁、今岡を三塁にコンバートして優勝した05年とイメージがダブるんだよね。台風の目になるとしたら中日。涌井が加わった投手陣は、阪神にひけを取らない。岡林に続く若手野手が伸びてきたら上位躍進もある。

 【森繁和氏、ヤクルトV3へ投打のバランス◎】ヤクルトは投打のバランスが良く、リーグ3連覇へ必ず優勝争いに絡むだろう。阪神も戦力充実で岡田監督の采配に注目。巨人は投手陣にクエスチョンマークが付く。注目は中日。投手陣は先発、リリーフとも駒がそろいリーグ屈指。問題は打線。やはり外国人次第になる。オープン戦4本塁打のアキーノが、期待通りの活躍で中軸を打てるか。打線の援護次第で上位に食い込む可能性は十分。DeNA、広島も上位のチャンスはあり、混戦になる。

 【辻発彦氏、ヤクルトはチームとして“しつこい”】ヤクルトは投手陣が安定しているし、昨年までの2年で戦い方も分かっている。チームとしてしつこいし、粘ることができる。ドラフト1位の吉村も戦力になるだろう。阪神は岡田監督になったのが一番大きく、まとまって違った戦い方が出てくるだろう。投手はいいだけに、昨年安定感に欠けた打線が鍵。大山、佐藤輝の中軸が年間通して安定して働いてくれれば戦える。巨人は投手が不安。DeNAも投手力はいいので、打線次第とみている。

 【牛島和彦氏、DeNAバウアー加入で先発豊富】DeNAは破壊力のある打線に加え、投手陣の駒がそろってきた。平良がトミー・ジョン手術から復帰。大貫の出遅れは痛いがエース・今永、石田、浜口、東、バウアーら先発陣は手厚い。投打がかみ合えばV候補だ。阪神も投手陣が安定しており大崩れはしないだろう。中日も投手陣はいいが、打線がどうしても外国人頼みになる。岡林が出塁して中軸の助っ人が還す得点パターンが出来上がるか。巨人は投手、特に先発陣が厳しいとみる。

 【伊東勤氏、巨人“大勢の前”新顔使えれば】巨人はオープン戦から代木、船迫ら新しい顔ぶれを中継ぎ候補として試している。大勢の前に彼らが使えるようになれば、勝ちパターンが確立できる。一方、ヤクルトはマクガフが抜けた穴が埋まっていない。救援陣の差で巨人に分があると見る。不気味なのはDeNA。鍵はオースティンがどこで使えるようになるか。阪神は連敗癖と勝負弱さを克服できるか。中日はセンターラインの顔ぶれが変わり守りが不安定。広島は投手陣が弱い。

 【槙原寛己氏、課題の阪神打線を森下が変える】阪神は投手陣が充実。課題は打線だったがドラフト1位で森下が入ってきた。初めて見たときに驚いたのがスイングスピードの速さだ。もう何年もプロの一線で活躍しているような振りをしている。総合力で阪神が抜けると見る。ヤクルトは連覇の実績で上位は確保。中日はWBCで活躍した高橋宏と小笠原がローテの軸でAクラスを狙える。巨人は菅野、坂本の落ち込みが懸念材料。DeNAはバウアー次第。広島は投手の層が薄く厳しい。

 【中村武志氏、先発陣が充実の中日が下克上も】昨季最下位だった中日の下克上を予想する。OBの期待もあるが、一番の理由は投手力。WBCでも活躍した高橋宏が覚醒し、大野雄、小笠原、柳にいい刺激を与える。涌井の加入も大きく、枚数が余るほど先発陣が充実している。弱かった打線も外国人やドラフトでの補強により、昨季よりも得点力が上がるはずだ。安定した力があるのが阪神。投手力があり、打線は機動力も使え、岡田新監督が着実に1点を積み重ねる戦い方をする。

 【鈴木啓示氏、投手陣のボールに力ある阪神】阪神の優勝を予想したが、やっぱり球に力がある投手が多い。青柳というエース格がいるのもベンチには安心材料だろう。投手がいいと期待しすぎるのもどうかと思うが、昨年の湯浅や浜地、才木、西純らのように新たに若い子もパッと出てきて層も厚いのが強みだ。2位予想にしたヤクルトには抑えの不安はあるが、逆に村上という核となる4番打者がいるのが大きい。巨人から景気のいい話が聞こえてこないのが寂しいけどね。

 【大野豊氏、投打やりくり必要も広島】広島は先発ローテ候補はたくさんいるが、開幕前まで「この6人でいく」というところまでは決まっていない。1試合良くても続かないなど、安定感がない。打線も菊池が2番なのか7番なのか、秋山が1番なのか3番なのか、など投打ともやりくりが必要で開幕後も固定はできないだろう。ヤクルトと阪神は新しいクローザーが順調に滑り出せるか。投手陣に限っては、中日が先発もリリーフも安定している。得点力次第で浮上可能だ。

 【広澤克実氏、阪神・青柳中心の先発6人困らず】阪神はやっぱり投手がいい。エース青柳を軸に先発6人に困っていないのは大きい。課題は得点力で、4番・大山、5番・佐藤輝の前後に並ぶであろう新外国人ノイジーとドラフト1位・森下に期待がかかる。忖度(そんたく)なしに阪神を優勝としたが、2位以下は迷った。ヤクルト、巨人、DeNAに昨年からの大きな上積みがあるようには見えない。助っ人打者の活躍と、WBC出場選手が順調にシーズンに入ったチームが浮上しそう。

 【野村謙二郎氏、先発5、6番手出てくれば広島】広島は投打で新戦力の台頭に期待。先発は大瀬良、九里、床田、遠藤に続く5番手、6番手をやりくりしていく必要がある。ドラフト1位の斉藤(苫小牧中央)は、今年の高校生投手の中では一番という評価だが、即戦力では考えていない。打線も開幕後も日替わりが予想されるが、マクブルームと新外国人のデビッドソンに長打がほしい。先発もリリーフも投手力がいい中日は、得点力次第で大きく浮上する可能性は十分にある。

 【佐々岡真司氏、広島エース大瀬良1年間軸に】広島の昨年からの大きな上積みは、大瀬良が1年間軸となってやってくれること。先発投手は昨秋に右肘手術の森下が戦列に戻ってくるまでは数的にも苦しいが、アンダーソンとコルニエルのどちらかが出てきてほしい。打撃のいい坂倉を今年は一塁や三塁では起用せず、捕手固定がプラスになることを期待。WBCで負傷した守護神・栗林が開幕に間に合いそうなのはよかった。逆にヤクルトと阪神は、新守護神のスタートに注目したい。

 【矢野燿大氏、阪神の脅威は“高津采配”】阪神の優勝予想だが、2連覇中のヤクルトの高津監督は昨年まで戦ってきてうまいと思った。特に投手起用では、ペナントレースは勝ちパターンだけで一番上に立つのは難しくて、逃げ切り継投が確立された上で、さらにどれだけ他のメンバーをそこに入れていけるのかが大事。何度も“え?ここでこの投手”とか、最初は勝ちゲーム要員ではない投手でも、全員を起用しながら少しずつ動かして戦力を大きくしている印象があった。

 【亀山つとむ氏、投手陣の数も質も阪神“充実”】阪神は投打のバランスがいい。投手力は先発もリリーフ陣も数も質もそろっている。近年の課題となっている得点力は、甲子園を本拠地にしているので、どうしても本塁打数が少ないのは仕方がないが、足の速い選手が多く機動力が武器になっているのでカバーはできる。ドラフト1位の森下は引っ張り専門の打者のイメージだったが、右方向にも強い打球が打てている。変化球にも大きく体勢を崩さないし、1年目から数字を残しそう。

 【赤星憲広氏、チームの走塁意識が高い阪神】優勝予想している阪神で、2月のキャンプで臨時コーチをしたが、足の速い選手が多いだけではなく、チーム全体で走塁への意識は高いと感じた。ドラフト1位の森下はスイングスピードが速いので、プロの投手のボールにもすぐに対応しそう。守備もいいし、肩も強く、足も遅くない。中日はビシエドの復活と新外国人のアキーノ次第。ちょっと得点力が上がれば、あの投手力なので一気に浮上する可能性があると見ている。

 【関本賢太郎氏、阪神“本塁打不足”は機動力で】優勝予想にした阪神は例年通り得点力が課題だが、各打者に地力はある。ドラフト1位の森下はバットを思いきり振れるのが素晴らしい。いつかは打てない時、プロの壁に当たる時がくるだろうが、外野の守備がいいのでベンチも我慢して使い続けることはできると思う。ノイジー、大山、佐藤輝の中軸が打てば森下も気楽に打席に入れる。甲子園を本拠地にしているので本塁打数はなかなか増えないが、機動力で補えるとみている。

 【能見篤史氏、阪神・青柳は一段階上の存在に】投手力で順位をつけた。昨年まで在籍したオリックスの選手たちが、「やっぱり阪神のピッチャーはいい」と言っていた。開幕投手を務める青柳にはもう一段階上へ、突出した存在に上り詰めてほしい。湯浅は落ち込まない性格みたいなので、あの真っすぐで抑えは務まるとみている。中日も投手力がいいのでAクラス予想。今年は小笠原が覚醒して先発陣はさらに盤石。勝ちゲームの7回以降の継投もリーグ一の安定感がある。

 【若菜嘉晴氏、DeNA投打しっかりでそろそろV】DeNAは投手陣がしっかりしてきての昨年の2位。ビッグネームの新外国人投手バウアーもどう活躍するのか。打撃では牧や宮崎もしっかりしている。そろそろ優勝もあると思っている。優勝争いは混戦になるだろうし、巨人、ヤクルト、阪神まではだんご状態になるかもしれない。巨人は世代交代、ヤクルトは補強がそれぞれ不足している印象。阪神は岡田監督がどう変えてくるか。佐藤輝や大山がもう一皮むけると面白い。

 【杉本正氏、ヤクルト攻守でまとまったチーム】トータルで見ても投打で一番安定しているのはヤクルト。攻守でまとまったチームに仕上がっている。2番手には巨人を推したい。大勢、戸郷と2人の投手が、WBCという大舞台で結果を残し、世界を経験できたことは大きな自信につながる。岡本和も含めて今季、さらなる飛躍をするのではないだろうか。投手陣がまとまっているDeNAも上位争い。広島、阪神は新監督の采配が注目。全体的に機動力が使える広島を上位に予想する。

 【岸川勝也氏、年齢層のバランスがいいDeNA】DeNAは打者、投手だけではなく、年齢層までバランスがいい。連覇しているヤクルトは抑え投手がどうなるか見えていないだけに昨年の1、2位の逆転があるのではないかと見る。その2チームに割って入りそうなのは巨人。長野、松田が加わり、中島とともに野手のベテランがそろった。賛否はあるかもしれないが、チームが苦しい時に彼らの経験が生きる展開になれば、相乗効果となるだろう。阪神・岡田新監督の采配も注目したい。

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