WBC世界一奪還原動力 4人のメジャー組に伝えた栗山監督の「侍魂」

[ 2023年3月23日 05:05 ]

優勝トロフィーを抱え歓喜の侍ジャパンナイン(撮影・会津 智海)
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 【侍ジャパン正夢舞台裏】09年以来、14年ぶりの世界一奪還。2大会連続4強に終わった大きな壁を、再び一気に突破して、いかに頂点まで駆け上がったのか。連載第1回は「ドリームチーム」結成の裏側。09年の5人に次ぐ、4人の侍大リーガーが集結するまでの道のりを振り返る。 (WBC取材班)

 世界一奪還の原動力は紛れもなく4人の侍大リーガーたちだった。過去最多5人の大リーガーが参戦した09年に次ぐ人数。13年は0人、17年は青木宣親1人で、4強に終わった敗因の一つとされた。

 栗山監督は侍ジャパンに選出した選手一人一人に電話をかけた。「力を貸してくれ」と。選手選考はスタッフ会議で決め、選出された選手への通達はNPB→各球団→選手という流れが慣例だった。しかし栗山監督は「選手たちに魂を持って加わってもらう。間接的に伝えられるとか、そういうものではないと思った」という。招集する際に、選手たちに直接思いを伝えた。

 メジャー組にも同様だった。ダルビッシュ、大谷、鈴木らの力は最強チーム結成には欠かせない。それが分かっていても、強引に参加を求めなかった。昨年8月に渡米して全米を行脚。出場要請はせず「選手たちの体の状態や調子を確認した」。WBCはシーズン直前の3月と調整が難しい時期。最低3週間近くチームを離れ、1次ラウンドと準々決勝は日本開催だ。「どういう状況なら出場できるか。その環境を整えることを考えた」

 それぞれの選手たちと連絡を取りつつ、シーズンでのプレーぶりを見守った。そしてシーズン後に打診。「日本の将来のために」という思いを伝えた大谷が出場表明すると、ダルビッシュ、鈴木も続いた。オフの間、家族と過ごす時間を大切にしてしているダルビッシュは熟考を重ねた上で決断。日本人大リーガーでは最後の表明となった吉田もそうだ。昨年末にポスティング・システムでレッドソックス移籍が決まり、栗山監督は移籍1年目を考慮してレ軍のキャンプを優先するように勧めた。それでも吉田は強く出場を希望。そこに栗山監督は吉田の「侍魂」を感じたという。選手と誠意を持って対話を重ね、思いを伝え、侍たちが栗山監督の下に集った。

 「最後は魂と魂のぶつかり合いになる」。栗山監督の熱い思いが動かした「侍魂」が最強ジャパンの根幹だった。

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2023年3月23日のニュース