侍・村上 “遅くて世界一速い”WBC1号「完璧でした」30打席目、今大会最速打球速度185キロ

[ 2023年3月23日 04:50 ]

WBC決勝   日本3-2米国 ( 2023年3月21日    マイアミ )

<日本・米国>2回、同点ソロを放つ村上(撮影・光山 貴大)
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 同点ソロは遅くて、世界一速いWBC1号だった。村上は30打席もかかったが、打球速度は115・1マイル(約185・2キロ)で今大会の本塁打で最速だった。歩き出すのは遅い。56本塁打を積み重ねた昨季よく見た「確信歩き」だったからだ。

 「完璧でした。一振りで追い付くことができて良かった。スターぞろいで強い米国に立ち向かっていけた。最高です」。1点を先制された直後。2回先頭で昨季メジャー13勝のケリーの初球を捉え、右中間のアッパーデッキにぶち込んだ。飛距離432フィート(約132メートル)。強打の米国勢に劣らないパワーを本場ファンに見せつけた。

 通算打率・231と不本意な成績で打順も5番に下げた。「終わってみたらうれしい気持ちも悔しい気持ちもある」と言うが、前夜は逆転サヨナラ打。渡米後の2試合は強烈なインパクトを残した。

 この2試合は特別だった。山田が先発復帰。金メダルを獲得した21年東京五輪でMVPに輝いて完全燃焼した先輩は「次世代に託したい」という思いからWBCへの出場を迷っていた。その心を傾かせたのが村上だ。「テツさんの力が必要です」。ヤクルトで主将として引っ張ってきた姿を近くで見てきた。14年ぶりの世界一奪還に向けて熱心に口説いた。村上は東京五輪の決勝でも本塁打し、山田をお姫様抱っこした。五輪の4番で、WBC出場を故障で辞退した鈴木(カブス)のユニホームを手に試合後のセレモニーに臨んだ。

 2年後のオフにポスティングシステムを利用した大リーグ移籍をヤクルトから認められている。大谷から頭を叩かれて祝福され、ヌートバーには「チームに戻ったらみんなに(村上のことを)聞かれるね」と言われた。史上最年少3冠王は「目標にしていた世界一になれた。凄くうれしい」と歓喜の輪に加わった。(神田 佑)

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2023年3月23日のニュース