カブス・誠也 WBC辞退へ 左脇腹張りでオープン戦回避、関係者「開幕に間に合わせるのも大変かも」

[ 2023年2月27日 03:00 ]

打撃練習中、左脇腹の張りを訴え、ジャイアンツとのオープン戦出場を回避したカブス・鈴木
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 侍ジャパンに大きな試練が訪れた。カブス・鈴木誠也外野手(28)が25日(日本時間26日)、左脇腹の張りを訴え、「4番・右翼」で出場予定だったジャイアンツとのオープン戦の出場を回避した。球団は26日(同27日)にMRI(磁気共鳴画像法)検査を行う予定。日本代表の中軸として期待されていた3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)への出場を辞退することが極めて濃厚になった。

 ジャイアンツ戦前のフリー打撃。鈴木に異変が生じたのは17スイング目からだった。大きなフォロースルーが消え、当てるだけのスイング。2日連続で柵越えはなかった。

 ニック・フランジェラ・ヘッドトレーナーと話し合った後、クラブハウスに引き揚げ、球団は左脇腹の張りと発表した。「MRI検査を受けることになるが、週末なので検査結果が出るまでに時間がかかるかもしれない」とチーム関係者。鈴木はトレーナー室で約2時間半の治療を受けた後、通訳が運転する車で施設を後にした。

 現在の侍ジャパンメンバーで外野手は鈴木の他に吉田、ヌートバー、近藤、周東の4人のみ。周東は主に代走の切り札と外野のバックアップの役割が見込まれる。鈴木は19年のプレミア12と21年の東京五輪で全試合4番を務め、同プレミア12ではMVPを獲得。外野で攻守の要となる存在だけに、離脱は大きな痛手となる。宮崎での壮行試合2試合を終えた栗山監督は、鈴木について情報が入っているか問われ「全員、元気な状態で集まってくれると僕は信じています」と話すにとどめた。

 鈴木の異変は、数日前から始まっていた。前日のフリー打撃でもフルスイングを封印。他の選手よりも1巡早く切り上げた。キャンプ初日の20日には、侍ジャパン合流に向け「毎日ライブBP(実戦形式の打撃練習)があると思うので、しっかりやっていきたい」と話していたが、翌21日から2日連続でライブBPを行わず。強風や雨などの悪天候もあったとはいえ、22日は他の選手が行っており、同僚のベリンジャーから「打たないのか?」と驚かれた。23日には腰周辺を保護する器具をつけてウオーミングアップを行っていた。

 脇腹の故障は、一般的に回復に時間を要する。「開幕に間に合わせるのも大変かもしれない」と不安を口にする大リーグ関係者もいた。また、地元テレビ局「マーキー・スポーツ・ネットワーク」の解説者は、オープン戦の中継の際に「脇腹は非常に(野球の動きで)重要なところ。WBCへの派遣は球団として難しいのではないか」と伝えた。検査結果を待って球団の方針が示される予定だが、出場辞退は避けられない見通しとなっている。(笹田 幸嗣通信員)

 ▽WBCの選手入れ替え制 故障者が出た時の代替要員は予備メンバーの中から、投手、野手関係なく、ラウンド中でも交代可能。ただし、メンバーから外れた選手はその後、登録することはできない。また、投手に限り、負担を減らすために1次ラウンド後と準々決勝後、2人ずつ入れ替えが可能となっている。

 【過去のWBC日本代表の途中辞退】

 ☆黒田博樹(06年第1回) 大会直前となる2月24日の12球団選抜との壮行試合で、右手人さし指に打球が直撃。検査の結果「右手人さし指付近の打撲」と診断された。骨とじん帯に異常はなかったが、1週間投球不能となり、同日の夜に出場辞退。阪神・久保田智之が代替出場した。

 ☆石井弘寿(06年第1回) 3月5日の1次R韓国戦の翌日に左肩の違和感を訴え、米ピオリア入り後の3月9日、2次R以降の出場辞退を表明。「100%でなければ迷惑をかける」とし、代替選手にソフトバンク・馬原孝浩を緊急招集。

 ☆村田修一(09年第2回) 3月19日の韓国との2次R最終戦の4回、中前打を放ち一塁に向かう際に右太腿裏肉離れ。原監督の即決で、代替選手として広島・栗原健太が緊急渡米。

 ☆嶋基宏(17年第4回) 2月の春季キャンプ中に右ふくらはぎの張りを訴え、代表強化合宿でも別メニュー調整を続けたが、3月3日に出場辞退を決断。西武・炭谷銀仁朗が代替選手となった。

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