ヤンキース・ジャッジ、マリスに並んだリーグ最多61号 ステロイド時代の記録とは一線画す「真の記録」

[ 2022年9月30日 02:30 ]

ア・リーグ   ヤンキース8ー3ブルージェイズ ( 2022年9月28日    トロント )

<ブルージェイズ・ヤンキース>61号2ランを放ったジャッジ(左)に敵地ファンも総立ちで拍手(カナディアンプレス提供・AP)
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 「True Record」に並んだ――。ヤンキースのアーロン・ジャッジ外野手(30)が28日(日本時間29日)、敵地でのブルージェイズ戦で3―3の7回に61号2ラン。1961年のロジャー・マリス(ヤンキース)のア・リーグ記録に61年ぶりに並んだ。エンゼルス・大谷翔平投手(28)とのMVP争いにも大きなインパクトを及ぼす一発。現在打撃3部門トップで、残り7試合でアの新記録と3冠王に挑む。

 同地区のライバル、ブルージェイズの本拠トロントで、3万7008人の観衆が沸き上がった。3―3の7回無死一塁、ジャッジの第4打席。左腕メイザのツーシームを捉えた左越え勝ち越し2ランが、リーグの歴史に刻まれる一発となった。

 「打った瞬間、飛距離は十分だと思った。ロジャー・マリスに並ぶのは夢のようで、現実ではないことのようだった」。20日のパイレーツ戦で60号を放って以来、8試合35打席ぶりの一発。観客席で見守っていたマリスの息子、マリス・ジュニアさんはジャッジの母パティさんと抱擁を交わした。ベース一周したジャッジはベンチ前でナインとハグ。ア・リーグ61年ぶりの61号を祝福された。

 バリー・ボンズの73本、マーク・マグワイアの70本といったナ・リーグ勢の記録は「ステロイド(筋肉増強剤)時代」に生まれた。マリス・ジュニアさんもジャッジの61号の価値を力説した。「私だけでなく、多くの人々にとって大きな意味がある。彼はクリーンな選手。ア・リーグの記録ではなく、シーズン記録保持者として尊敬されるべきだ」。報道陣から「ボンズ、マグワイアの記録は本物ではないと思うか」と問われると、「その通りだ。ほとんどの人がそう考えていると思う」と言い切った。

 敵地ゆえに熱狂的な大歓声ではなかったものの、多くのファンが立ち上がり、快挙に拍手と声援を送った。その光景が、全米が祝福していることを象徴。米メディアは「True Record(真の記録)」と伝えた。生後すぐに養子に出され、教師だった両親に育てられたジャッジ。「両親のおかげで高い目標を目指すようになった。母がいなければヤンキースの選手になっていない」。試合後はパティさんと熱い抱擁を交わした。(杉浦 大介通信員)

 ◇アーロン・ジャッジ 1992年4月26日生まれ、カリフォルニア州出身の30歳。カリフォルニア州立大から13年ドラフト1巡目(全体32位)でヤンキース入団。16年にメジャーデビューし17年に52本塁打で新人王と本塁打王。球宴4度選出。愛称は「Judge=判事」の決まり文句である「All Rise(全員起立)」。2メートル1、127キロ。右投げ右打ち。

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2022年9月30日のニュース