阪神・伊藤将 430人目の悲劇 今季自身初満塁のピンチで、対戦「13の0」桑原に… まさかの満塁被弾

[ 2022年8月25日 05:15 ]

セ・リーグ   阪神0―4DeNA ( 2022年8月24日    京セラD )

<神・D> 7回2死満塁、伊藤将はDeNA・桑原に満塁本塁打を浴びる (撮影・後藤 大輝)
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 阪神は24日のDeNA戦に0―4で今季23度目の零敗を喫し、9年ぶりとなるカード負け越しが決まった。先発の伊藤将司投手(26)が、7回2死満塁から桑原にプロ入り初のグランドスラムを被弾。2位・DeNAとのゲーム差も7まで広がり、逆転優勝はもはや風前のともしびだ。

 打球の角度とその飛距離を察知した虎党が悲鳴をあげる。伊藤将の渾身(こんしん)の直球は、無情にも左翼スタンドにはじき返されてしまった。

 「ピンチの場面で最後、粘り切ることができず、チームに申し訳ないです」

 6回まで快投を続けていた左腕に落とし穴が待っていたのは、0―0で迎えた7回だった。2死二塁からピンチを広げた満塁機。桑原に対して、外角要求がやや真ん中に入った141キロを完璧に仕留められた。2年目で初めてグランドスラムを被弾。投手戦を演じ、この回に代打を送られた浜口が三塁側ベンチで歓喜するのとは余りに対照的に、唇をかんで4者の生還を見届けるしかなかった。

 「まさか」が重なっての悪夢だった。満塁の窮地を経験するのは今季初。ただ、対峙(たいじ)したのは前の打席まで15打席13打数無安打に封じていた桑原だった。完璧に封じ込めていた相手で印象は悪くない。しかし、延べ430人目となった桑原との対戦は、最悪の結末が待っていた。

 わずかに上回ったのはDeNAの執念か。1点勝負と見て、1死一塁から柴田に犠打を命じ得点圏をつくった。阪神ベンチも次打者が投手の浜口であることを見越して代打・伊藤に申告敬遠。それでも、相手ベンチは好投の左腕を諦めて代打・関根を起用した。伏兵は二塁前へ意表を突くセーフティーバントを成功。結果的に一つ、一つの策がすべて実を結び、試合は決した。

 首位・ヤクルトへの“挑戦権”をつかむ意気込みで臨んだ2位・DeNAとの3連戦。だが、初戦から2連敗となり、9年ぶりのカード負け越しが決まった。同戦の5連敗も08年以来14年ぶりの屈辱。矢野監督は「1球の怖さというか、あそこは頑張ってもらわなあかんところ」としながら、6回まで零封の左腕を援護できなかった打線を敗因に挙げて、かばった。

 「点を取られへんから、どうしてもピッチャーにプレッシャーがかかってしまう。ピッチャーだけの責任ではないかなと思うし」

 前戦まで2試合連続の完投負けを喫するなど、昨年失速した夏場に奮闘を見せる伊藤将の力投が報われないことがもどかしい。ラストスパートをもくろむ猛虎がもがき苦しんでいる。(遠藤 礼)

 《初の満塁被弾》伊藤将(神)がプロ初の満塁被弾。被本塁打は通算21本目で桑原(D)は初めて。満塁の場面も今季初めてで、昨季は7度のうち6打数2安打と、押し出し死球1度で5打点を許していた。

 《夏の長期ロード勝ち越し消滅》連敗の阪神は、夏の長期ロード8勝12敗で勝ち越しが消滅。残り4試合に全勝でも12勝12敗の勝率5割のためで、矢野監督は就任1年目の19年から4年連続の勝ち越しなし。52年のフランチャイズ制以降、夏のロードを4年以上連続して指揮した阪神監督は藤本定義5年(61~65年)、中村勝広5年(90~94年)、岡田彰布5年(04~08年)、和田豊4年(12~15年)に続く5人目だが、勝ち越しがないのは矢野監督が初めて。

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