ENEOS最多12度目V!6回度会3ランから3発逆転 度会は橋戸賞&若獅子賞&打撃賞史上初3冠

[ 2022年7月30日 04:30 ]

第93回都市対抗野球決勝   ENEOS5─4東京ガス ( 2022年7月29日    東京D )

<東京ガス・ENEOS>12度目の優勝を果たしてマウンド歓喜のENEOSナイン(撮影・木村 揚輔)
Photo By スポニチ

 ENEOS(横浜市)が連覇した12、13年以来、9年ぶり、史上最多12度目の優勝を劇的な逆転勝利で飾った。4点ビハインドの6回に度会隆輝外野手(19)の3ランを皮切りに、3本塁打が飛び出して一気に5得点を挙げて逆転した。最優秀選手賞に当たる橋戸賞は度会が受賞。新人賞に当たる若獅子賞と、打撃賞との3冠は史上初となった。小野賞は指揮官として史上最多4度目の優勝に導いた大久保秀昭監督(53)が獲得した。

 19歳は真打ちのごとく、右翼から最後に歓喜の輪へ加わった。ドラマの主役は度会だった。0―4で空気が重たくなり始めた6回1死二、三塁。149キロ直球を右翼中段へ運んだ。自身今大会4発目となる3ランに勢いづいたチームは丸山、小豆沢のソロが続き一気にひっくり返した。

 MVPの橋戸賞に加え、若獅子賞と打撃賞まで獲得。「最高でーす!絶対やってやると思ってました。思い切り打ってチームに流れを呼び込めた」とインタビューで絶叫した。元ヤクルト内野手でムードメーカーだった父・博文氏譲りの明るさ全開だった。史上最多、12度目の大会制覇を成し遂げた大久保監督も「一番良い場面でまた打ってくれて、ただただ感心しています。本当にミラクルを起こしてくれた」と声を絞り出した。

 進化を求め、従来のレベルスイングから、春先は縦軌道のスイングに挑戦した。だが下から振り上げるとヘッドが走らなかった。「通天閣打法みたいだぞ」。見かねた大久保監督からの一言で原点回帰。今大会5試合で打率・429、4本塁打、11打点につなげた。

 入社2年目。ドラフト指名解禁は来秋だが、注目株に躍り出た。視察した日本ハム・坂本晃一スカウトも「天才的。ボールを遠くに運ぶ能力を持っている。来年のドラフト上位候補で間違いない」とうなった。横浜で2度甲子園を経験。プロ志望届を出したが指名されず、「早く父と同じ舞台に」と大学ではなく、3年目で指名可能な社会人に進んだ。

 3年ぶりに夏開催となった都市対抗で、名門復活を印象づける大逆転勝ち。19年まで4年連続予選敗退という低迷を味わったENEOSの、新たな歴史の扉を度会が力強くこじ開けた。(伊藤 幸男)

 ≪橋戸賞&若獅子賞&打撃賞の3冠は史上初≫橋戸賞と若獅子賞のダブル受賞は過去に2人のみ。第46回大会の電電関東・丹利男投手と、第61回大会のヤマハ・吉田篤史投手。吉田は91年ドラフト1位でロッテ入りし通算292試合で26勝37敗。ともに投手で打撃賞との3冠は史上初。

 ◇度会 隆輝(わたらい・りゅうき)2002年(平14)10月4日生まれ、千葉県出身の19歳。小1から野球を始める。下貝塚中では佐倉シニアでプレーし、U―15日本代表。横浜高では1年春からベンチ入りし、1年夏、2年春に甲子園出場。憧れの選手はヤクルト・山田。1メートル83、83キロ。右投げ左打ち。

続きを表示

2022年7月30日のニュース