近本の先制打&20盗塁で阪神初の貯金1 ヤクルトのマジック消した!奇跡信じる後半戦が始まったぞ

[ 2022年7月30日 05:15 ]

セ・リーグ   阪神6-0ヤクルト ( 2022年7月29日    甲子園 )

<神・ヤ>3回無死、右前打を放ち、ベンチを指差す近本(撮影・北條 貴史)
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 阪神は29日、後半戦初戦でヤクルトに6―0で快勝。今季初の貯金1をつくるとともに、初の単独2位に浮上した。初回、近本光司外野手(27)が決勝打となる先制打。直後に重盗に加わって、球団史上3人目となる「新人から4年連続20盗塁」を達成した。球宴を挟んでの4連勝。ヤクルトのマジック消滅にも成功した。

 126日前の開幕戦でヤクルトに7点差を引っ繰り返され、不名誉な記録を次々と打ち立てる悪夢の序盤戦が始まった。後半戦初戦で因縁の相手に快勝。立役者は、近本だ。

 中野、島田の連打でつくった初回無死一、三塁。追い込まれてからのフォークを右前に運んで先制点を挙げた。「1、2番がチャンスをつくってくれた。何とか1点先制をしたかった」。開幕戦で先発の小川を攻略したものの、直近2戦は1点も奪えなかった。苦手意識が芽生えかけていた右腕を「積極的に手出しができた」と電光石火で仕留め、さらに重圧をかけた。

 佐藤輝の2球目、遅い変化球を読み切って、二走島田と重盗を試みた。捕手・中村が送球を諦めた完璧な作戦。これがサインかどうかは、「それはなんとも言えません」と明かさなかったものの、大山の適時打、糸原の併殺崩れを呼び、初回に一挙に3点を挙げた。

 右前打で出た3回の二盗は、リプレー検証でアウトになったが、初回の二盗で球団では吉田義男、赤星憲広に次ぐ3人目となる「新人から4年連続20盗塁」をクリア。6日に樹立した球団記録の30試合連続安打から日がたたないうちに、また一つ、勲章を手にした。

 12球団で唯一、今季のフルイニング出場を続ける。球宴の中断期間に休息を取れないのは、人気選手の宿命。福岡市と松山市へ移動した2戦で、5打数4安打と活躍した一方、試合間隔が空くことを嫌う男が「今年は(休みの)期間が空いてほしいなというのはありますけどね」と、疲労蓄積をほのめかした。

 心の清涼剤は、母校の進撃。兵庫・社高が28日に、創部74年目で初の夏の甲子園出場を決めた。「(報道陣から)僕がおめでとうと言われても、僕もおめでとう(と言う立ち場)なんで。現役の子が初出場をしてくれてうれしい」。高校の後輩、楽天・辰己と計画する差し入れを語る声は、少し明るかった。

 7月4日に17もあった首位ヤクルトとのゲーム差は、1カ月足らずで7つ縮め、10になった。不動のレギュラーは「50試合を切っている。がむしゃらに最後までやるしかない」と奇跡の逆転Vだけを見つめる。矢野監督が掲げる「ドラマ」が、にわかに動き出した。
 (倉世古 洋平)

 【データ集】
 ○…近本が初回の二盗でシーズン20盗塁目。新人の19年から36→31→24→20の4年連続20盗塁。球団で新人から4年以上連続20盗塁以上は、吉田義男の5年(53~57年)、赤星憲広の9年(01~09年)に続く3人目。

 ○…阪神が4連勝で今季初の貯金1。シーズン95試合目は、94年の93試合目を2試合更新するチーム最遅。なおセ・リーグの優勝チームでシーズン初の貯金1が最も遅かったのは08年巨人の66試合目。

 ○…4月23日には借金16を記録。借金16以上から貯金1まで回復したのは10年ヤクルト(最多借金19)以来5度目で阪神では66年以来56年ぶり2度目。今季の阪神は残り48試合。過去最多の39試合を残していた62年南海(最多借金20)は27勝12敗で、最終的には貯金16(73勝57敗3分け)の2位になっている。

 ○…ヤクルト戦は7月8日に続く今季初の連勝で6勝8敗。6月30日時点でつけられた最大17.0ゲーム差は、約1カ月で10.0ゲームまで接近した。

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2022年7月30日のニュース