【内田雅也の追球】「ケ」のないスコアブック 巨人・赤星を揺さぶれない展開では

[ 2022年4月18日 08:00 ]

セ・リーグ   阪神1ー3巨人 ( 2022年4月17日    甲子園 )

<神・巨>5回 2死二塁 左飛に倒れた佐藤輝(投手・赤星)(撮影・成瀬 徹)
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 スコアをつける時、打者や走者に作戦面の動きがあれば、投球欄の横に添え書きするようにしている。「B」はバント(フェイクも含む)、「b」はバスター、「hr」はヒットエンドラン、「br」はバスターエンドラン、「S」は盗塁……といった具合だ。

 阪神でこの日、添え書きがあったのは7回裏2死一塁、打者・山本泰寛の3球目の「S」だけだ。一塁走者・島田海吏がスタートを切った盗塁で山本がファウルした。投手は2番手・高梨雄平に代わっていた。

 つまり、2勝目を献上した新人・赤星優志が投げている時、阪神は何の作戦的な動きもなかったわけである。

 スコアでは、けん制球を投げた時や偽投した時に「ケ」と記している。この「ケ」もなかった。

 赤星には前回対戦の3日、東京ドームで7回2失点でプロ初勝利を献上していた。この時も添え書きは皆無。けん制球は1回表に2球だけ「ケ」と記されている。

 つまり、赤星は走者を気にせず、打者を打ち取ることに集中して投げることができたわけだ。

 やはり、何とか走者を塁に出して、足を使った機動力で揺さぶりたい。

 問題は回の先頭打者である。赤星に対して2試合14イニング、先頭打者を出したのは前回の1回と今回の7回の2度だけである。先頭が出なければ、なかなか作戦面で動く展開にならない。

 今年は開幕から20試合でチーム盗塁数は7、シーズン50個ペースと平凡。昨年は114個で3年連続リーグ最多盗塁だった。自慢の機動力を発揮できずにいる。

 結果、前回も今回も奪った得点は糸井嘉男の本塁打だけとなった。いわゆる打線がつながって、機能していない。

 沈滞していた打線を組み替え、2番に佐藤輝明を置くオーダーを組んで4試合を終えた。強打者の佐藤輝にはバントなど小細工なしというのは当然だが、やはり機動性には欠ける。これまで1番の中野拓夢が一塁に出てスタートを切ったが、ファウルや凡飛に終わったケースが幾度かあった。

 2番・佐藤輝はあくまで臨時の措置だろう。1番・近本光司、2番・中野の本来の形に戻れば、動きも活発化するとみている。  =敬称略=
 (編集委員)

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2022年4月18日のニュース