新型コロナに翻弄される球児たち…20年春夏中止、交流試合、21年夏は開幕後一日2校辞退の異常事態

[ 2022年3月17日 20:40 ]

2020年8月10日、高校野球交流試合開会式で選手宣誓する、花咲徳栄の井上朋也主将(左)と大分商の川瀬堅斗主将
Photo By スポニチ

 あす18日に開幕する第94回選抜高校野球大会(18日から13日間、甲子園)の出場校で、今秋ドラフト候補の最速143キロ左腕・森下瑠大投手(2年)を擁する京都国際(京都)が13人の新型コロナウイルス感染によって出場辞退することが17日、日本高野連から発表された。京都国際の辞退によって近畿地区の補欠1位校である近江(滋賀)を出場校とすることも併せて発表された。補欠繰り上がりとなった近江と長崎日大の一戦は19日の大会第2日第2試合に行われる。

 現在も第6波が収まらない新型コロナウイルス。日本人で初の国内感染が確認されたと報道されたのは2020年1月下旬。同年3月19日から11日間にわたって開催予定だった第92回選抜高校野球大会は新型コロナ拡大の影響により、3月11日に中止が決まった。第2次世界大戦による中止はあったが、日程が決まってからの中止は史上初のことだった。

 東京五輪・パラリンピックも開催予定だった同年夏の第102回全国高等学校野球選手権大会も同じく新型コロナ感染拡大のため5月20日に開催の中止を正式発表。目標となる甲子園の舞台はなくなったが、各都道府県は球児たちのためにそれぞれ独自大会を開催した。新型コロナによって高校野球だけでなく高校総体などほとんどの学生スポーツの大会が中止を余儀なくされた。

 緊急事態宣言による外出自粛など世界中の人々の生活を激変させた新型コロナウイルス。そんな中、20年6月10日に日本高野連が「2020年 甲子園高校野球交流試合(仮称)」を実施すると発表。中止とした春のセンバツに出場予定だった32校を招待。中止となった夏の甲子園大会期間中に甲子園球場を使用し、招待された32校それぞれが1試合の対抗試合を行った。最終学年である3年生部員を1人でも多く参加させることへの配慮でベンチ入りメンバー上限を拡大。8月10日の開会式には、開幕戦に出場する花咲徳栄と大分商の選手だけが参加した。この年は神宮大会も中止となった。

 2021年は前年末からの第3波が収束に向かう中、様々な感染対策を講じて、2年ぶりとなるセンバツ開催を決定。オンラインでの抽選会、観客上限1万人、ブラスバンドの演奏なし、甲子園事前練習は行わず、甲子園の土を集めることも禁止する中、大会期間中に出場選手にコロナ感染者を出さず4月1日に東海大相模と明豊が決勝戦を行い、東海大相模が10年ぶり3度目の優勝を果たした。

 同じく夏の甲子園も2年ぶりに開催されたが、この2021年夏はデルタ株が猛威をふるった第5波の中、過去の感染対策の経験を生かし無観客で実施された。しかし大会直前に作新学院の部員3人の感染が確認された。この時は集団感染ではないという判断で出場が認められた。そして開幕後の8月14日に初の出場校からの感染者が東北学院から確認された。選手2人と練習補助の1人が濃厚接触者に認定され17日に2回戦以降の出場辞退を申し入れた。同じ日には宮崎商が選手ら13人の陽性を受け出場辞退を発表。一日で2校辞退の異常事態となった。

 そして今回、開幕前日に無念の京都国際出場辞退。春夏の甲子園の夢を同時に失った20年。感染拡大は止まらない中、前年の学生たちの悲劇を繰り返さないためにコロナとの“共存”を模索し続けた21年。そして感染者数が過去最多を更新し続けた第6波の中で行われる22年センバツ。いまだ出口が見えない“見えない敵との闘い”に突入して3年目。新型コロナウイルスは、いつまで球児たちを翻弄するのか――。

続きを表示

この記事のフォト

2022年3月17日のニュース