女子野球は「未来しかない」(3) 甲子園開催、NPB女子チーム実現…連盟の発想力と全員の強い意志

[ 2022年3月3日 08:00 ]

昨年11月、佐賀・嬉野市で行われたイベントに参加した中島梨紗監督(前列右端)ら侍ジャパン女子代表と同OGメンバー
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 【2から続く】一方、「女子野球タウン構想」を立ち上げた連盟側の「発想力」も際立つ。

 全日本女子野球連盟の山田博子代表理事は、前職では映像・音楽業界に従事。縁あって野球に関わるようになった。野球経験がないからこそ、全く違う視点から「ファンを増やす」アイデアを考え、積極的にアウトソースする。セッション翌日には選手らが様々な観光スポットや名物を紹介。その様子を映像制作会社に撮影を依頼してYouTubeの番組として配信し、まちのPRの一翼を担う。

 嬉野のイベントに参加した代表の中島梨紗監督は「これをきっかけに女子野球を知ってもらえれば。こうして輪が広がっていくことで、よりしっかりプレーしなければならないし、選手にも責任感がすごく出てくると思います」と、その効果を口にした。

 伝統と人気に支えられ、成熟しきっている男子野球。一方で、プロアマの壁や厳格な規制がない女子野球は、ハードルを軽々と越えられる強みがある。男子は過去の歴史から禁止されているプロと学生のコラボなども話さえつけば簡単にできる。そこに野球経験未経験者ならでは発想が加わることで、女子野球の展開は無限大になるのだ。

 120年の歴史を持ち、競技人口は右肩上がり。W杯は6連覇中で世界ランキング1位を維持している。今年の夏は女子高校野球決勝を甲子園で開催。NPB球団には女子チーム発足に向けて働きかけを続け、プロ球団に女子野球チームが生まれた。

 「歴史が動いたのではなく、みんなで歴史を作ったと思っている。絶対に何年か後には甲子園でやるんだという強い意志を女子野球関係者みんなが持ち続けていた」と山田理事。こうしたプレゼンを聞いた自治体関係者は皆「夢しかない」と一様に前のめりになるそうだ。「女子野球で町おこし」は、全国で密かなブームとなりつつある。(4へ続く)

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