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女子野球は「未来しかない」(1) 九州の温泉街に響いた「HAPPY TOGETHER!」

[ 2022年1月20日 08:00 ]

【女子野球】セッションの参加メンバーと記念撮影。最前列の選手たちが手にしているのはセッションで出来上がったプレゼン用の壁新聞
Photo By スポニチ

 昨年全国大会決勝の甲子園開催やイチローさんとの対決などが実現し、ますます活性化が進む女子野球。競技振興の一環として立ち上げた「女子野球タウン構想」では、全国で10の自治体が認定された。その認定第1号となった佐賀県・嬉野市の取り組みと女子野球とのコラボレーション現場に密着。そこには「未来しかない」と思わせるほどの熱意と活気にあふれていた。4回にわたって連載する。

 2021年11月、佐賀県嬉野市。おしゃれなレストランは女性たちの熱気で充満していた。同市のキャッチコピーである「うれしいを、いっしょに。」から、記念撮影では「HAPPY TOGETHER!」と全員で掛け声をかけ、大きな拍手とともに散会した。

 「HAPPY TOGETHER PROJECT PLAYBALL SESSION(ハッピートゥゲザープロジェクトプレイボールセッション)」と名打たれた対話イベント。会場は、フランスの菓子の名店「ピエール・エルメ」の佐賀初出店を果たして大きな話題になった旅館「和多屋別荘」のレストラン「SHINZO」。嬉野の特産である茶農家や商店街関係、ヨガインストラクターなど様々な業種の地元住民が集まった。ここに現役選手、元選手を含めた侍ジャパン女子代表が一人ずつグループに参加。進行はセッションのプロ集団「フューチャーセッションズ」が担い、過去を振り返り、5年先の未来のアイデアを出しながら嬉野のことを考えていくというものだ。

 熱気で会場の温度が上がるほどの白熱ぶりだった。ディスカッションは約2時間だったが、あっという間にアイデアが形となり、最後は「壁新聞」のような形にまとめてプレゼンしていく。こういう場では恥ずかしがったり、無駄な謙遜があったりでうまく進まないシーンがあったりするが、そんなことが全くないのだ。進行役をプロが務めていることもあって、全員がお互いを認め合い、共感し、堂々とプレゼンしていく。「やっぱり、嬉野をよくしていきたいから」と参加者は言う。地元を盛り上げたい一心が、情熱の塊となって昇華していく様を見た。

 セッションに立ち会った嬉野市の村上大祐市長は「すごい。皆さんの発想力に驚かされました。ぜひ政策に落とし込んでいきます」と舌を巻いた。

 女子野球からは日本代表の中島梨紗監督を始め6人が参加。嬉野の人々とフィールドは全く違うが、それが良いのだ。彼女たちは野球を通じ「目標から逆算してそこへ向かっていく努力をする」という体験談を提供することができる。また、女子野球の存在を知ってもらい、ファン開拓のきっかけになっていく。

 草の根ではあるが、代表監督クラスまでどんどん足を運ぶフットワークの軽さが女子野球の組織全体としての大きな強み。参加者側からも「やはり会話のキャッチボールの仕方を知っている。アスリートの話はすごく刺激を受けた」という声が挙がり、双方にとって効果的なイベントとなった。

 しかし、そもそも、なぜこのイベントがこの場所で開催されたのか。それは全日本女子野球連盟が昨年認定した「女子野球タウン構想」が背景にある。(2に続く)

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