MLB開幕延期 11日が交渉のデッドラインか FA権取得へ選手側譲れない4月15日開幕から逆算

[ 2022年3月3日 02:30 ]

米大リーグ機構のマンフレッド・コミッショナー(AP)
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 労使間の決裂が続き、不透明になっている大リーグのシーズン開幕の見通しについて、本紙の笹田幸嗣通信員(58)が分析した。

 妥当な見解だと感じた。大リーグ専門局「MLBネットワーク」の番組内で、大リーグ公式サイトのマーク・フェインサンド記者は、合意のメドについて「(今後)1週間では厳しい。2週間は必要だ」と主張した。

 開幕2カードの中止は1週間後の合意を見据えてのものだろう。10日~2週間後の合意と仮定すれば、開幕は当初のスケジュールで数えて5カード目の4月14日(日本時間15日)が有力。年間登録日数の減少を、14日にとどめることができる。

 この登録日数は選手会に極めて重要。通常なら186日の登録日数が、15日以上短縮されると、1年分のFA権取得に必要な年間登録日数172日に届かなくなる。エンゼルスの大谷であれば、FA権取得が23年オフから翌24年のオフに1年ずれ込む。特例措置が設けられる可能性もあるが、年間172日以上の登録日数を守ることは優先されるだろう。

 一方、機構側(MLB)にとっても、中止試合が増えることはテレビ放映権料、インターネット視聴料の減少に直結するだけに避けたい。しかも、4月15日(同16日)は「ジャッキー・ロビンソン・デー」。1947年の同日に初の黒人選手としてデビューしたロビンソンの功績を称えるもので、選手全員が現役時代の背番号42をつけてプレーする。大リーグの歴史上で「ダイバーシティー(多様性)」の象徴であるロビンソンの記念日をないがしろにすることは考えにくい。

 開幕延期のリミットを「4・14」とし、そこから逆算してオープン戦開幕を今月中旬とすると、新労使協定合意は今月10日(同11日)あたりが交渉のデッドラインか。もう少しの辛抱が必要だ。(笹田幸嗣通信員)

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2022年3月3日のニュース