広澤克実氏が提言 阪神は「マルテ+サンズ+ロハス」三本の矢継続を 好不調で使い分ければ戦力に

[ 2021年11月11日 07:00 ]

本紙評論家が振り返る矢野阪神3年目の「光と影(3)」

広澤克実氏
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 本紙評論家陣による連載「矢野阪神3年目の光と影」第3回は、広澤克実氏が外国人選手を総括。ヤクルトより4つも多い77勝の要因は助っ人勢の踏ん張りが大きいと分析し、12球団No.1だったとまとめた。特に打者陣は、突出した一人の強打者が引っ張ったわけではないが、マルテ+サンズ+ロハスで大きな一つの輪になるとし、可能ならば来季も3選手がそろうことが望ましいとした。

 総勢8人いた阪神の助っ人。12球団を見渡しても、投打でかなりの戦力になっていたと思う。先発ガンケル、途中から中継ぎに代わったアルカンタラ、守護神スアレス。野手でもマルテ、サンズ、ロハスと、チームが優勝を争うことができたのは外国人の力が決して小さくない。

 マルテは、特に前半戦はMVP級の働きだった。3番打者として1、2番を還すこともしたし、4番大山、5番サンズ、6番佐藤輝…と続く中軸の先陣として好機の演出もした。一番の特長は選球眼の良さ。外国人打者にありがちなボール球の外角変化球、低め変化球に手を出さず、相手バッテリーはストライクゾーンで勝負せざるを得ないから、すごくプレッシャーをかけられている。

 例えば中日のビシエドや巨人のウィーラーが内角を苦手としているように、明らかなウイークポイントがない。ここをこう攻めておけば大丈夫というものがないのも、選球眼の良さが起因している。終盤に打率は落としてしまったが、明確な穴がないから1年間安定した力を出せる。

 サンズは2年続けてシーズン後半に成績を極端に落とした。外角の半速球にめっぽう強く、逆に内角の速い球が弱いとされている。しかし狙っていれば、その内角も打てる力はあるので考え方次第だろう。その一つが配球を読むことだ。データを利用したり日本野球の特徴を知ることで駆け引きをしたり、対応は可能になる。内外角両方を追いかけることは誰にでも難しい。

 1年目のロハスは不本意な成績だが、強打者の片りんはうかがえる。キャンプをしっかりと過ごして、オープン戦を経て、落ち着いてシーズン開幕を迎えていたら…と思わせてくれる。

 3選手とも一塁まで一生懸命に走るが、そんな助っ人は他球団には見当たらない。みんなチームにも溶け込んでいる。金銭を含めた契約の条件やチーム編成上に問題がなければ3人そろって来季もプレーできるのが望ましい。戦力的にいえば、3人で一つの大きな輪ができている。

 阪神の外国人打者はみんな、3冠王を獲ったバースと比較されるからハードルが高くてかわいそう(笑い)。もちろんバース級の成績を残せる打者がいれば理想だが、今年のようにその時々で調子のいい2人を使うことで1年間を乗り切るスタイルでいい。ここまで名前を挙げた投打の助っ人が一人でも多く来季も残ってくれて、今年くらいの働き、成績を残してくれれば十分。あと少し届かなかったリーグ優勝、そして日本一には日本人選手が奮起しなければならない。

 ○…外国人投手では守護神スアレスがいずれもキャリアハイとなる62試合で62回1/3を投げ42セーブで2年連続最多セーブ。救援失敗は7月1日ヤクルト戦(4失点、負け投手)と9月23日の中日戦(2失点、勝敗なし)の2度だけ。失点もこの2試合以外に1失点が3試合のみ。チームは70年以来51年ぶりにサヨナラ負けがなかった。本塁打を打たれなかったのも特徴で、今季救援50イニング以上で0本は平良(西)と2人だけ。セーブ導入の74年以降の阪神では初めて。被本塁打0の最多セーブは11年武田久(日)以来10年ぶり4人目。外国人投手では97年の宣銅烈(ソンドンヨル)(中)以来24年ぶり2人目となった。

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