楽天が“リーグ最下位”から巻き返しへ YouTubeをめぐる各球団のもう一つの戦い

[ 2021年11月11日 11:12 ]

楽天の球団公式YouTubeの撮影やPRも担当する伊東広報
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 楽天が“最下位”からの巻き返しに燃えている。今季のレギュラーシーズンの順位のことではなく、球団が運営する「YouTube」の話である。球団公式チャンネルの登録者は約9万4000人(10日時点)。この数字はパ・リーグ6球団で最下位で、12球団でも11位だ。

 プロ野球のファンサービスにおいて、SNSや動画投稿サイトなどを駆使した情報発信はもはや当たり前の時代になった。各球団は日々、趣向を凝らした動画をYouTube上に配信している。

 ちなみに、パ・リーグの球団で登録数が多い順番は次の通り。
 
(1)ソフトバンク(17・5万人)
(2)日本ハム(16・3万人)
(3)ロッテ(12・7万人)
(4)オリックス(9・89万人)
(5)西武(9・62万人)
(6)楽天(9・48万人)
※いずれも10日時点
 
 楽天は今年だけで約4万7000人を増やしたものの、まだ最下位に甘んじている。「年内に10万人到達」という目標を掲げており、10人で構成する担当チームはラストスパートに向けて鼻息が荒い。

 楽天がYouTubeでの動画配信に本腰を入れ始めたのは今年3月だった。「コロナ禍でファンのみなさんにどうやってチームや選手の情報を届けるか。田中将大選手の復帰で注目が集まっていたタイミングで、もっとYouTubeにも力を入れようという号令がかかりました」。こう説明するのは、広報部に所属しながらYouTubeの担当部門「ソーシャルメディアグループ」の一員として撮影やPRに携わっている伊東昂大広報だ。

 今年はすでに795本の動画がアップされた。最も再生回数が多かった2月の春季キャンプで田中将の初ブルペンの様子を撮影した動画で、64万回を記録した。他にも選手がさまざまな企画に挑戦する動画も人気で、開幕後は週に約1500人ペースで登録者数を増やしていった。

 ただ、シーズンが進むにつれて伸び率は鈍化した。頭打ちになっているのは事実で、これは楽天に限った話ではない。「他球団と同じことをやったのではただの二番煎じになってしまう。いかにオリジナリティを出すか。ただバズればいいわけでもないですし。やみくもに動画の本数を増やすだけではなく、今後はより内容を充実させることも考えないといけない」と伊東広報。このままコロナの感染状況が落ち着けば、チームの動きが少ないオフシーズンは選手のプライベートに密着する企画なども検討しているという。

 球団公式チャンネルでしか見られない映像を楽しみにしているファンは多い。“動画のプロ”でもあるテレビ局の元社員を採用する球団も。多様化するニーズに応えるべく、各球団は試行錯誤を続けている。(記者コラム・重光晋太郎)

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