オリックス・由伸 CS史上最短の完封劇呼んだ理由 「一から調整し直す」緻密な修正力

[ 2021年11月11日 05:30 ]

パCSファイナルS第1戦   オリックス1-0ロッテ ( 2021年11月10日    京セラD )

パCSファイナルS<オ・ロ(1)>ヒーローインタビュー後、ファンに手を振る山本(撮影・坂田 高浩)
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 クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ(S=6試合制)が開幕し、25年ぶりのリーグ優勝を果たしたオリックスがレギュラーシーズン2位で勝ち上がってきたロッテに先勝し、アドバンテージの1勝を含め2勝とした。エースの山本由伸投手(23)が散発4安打で10三振を奪い無四球完封。ポストシーズンでの1―0完封は11度目だが、無四球&2桁奪三振での達成は史上初で、初回にT―岡田の先制適時打であげた1点を守り切った。

 絶対エースたるゆえんを大一番で証明した。9回2死、中村奨を10球目の151キロ速球で中飛に仕留めると、山本はマウンド上で両膝に手を突き、大きく息を吐いた。初回の1点を死守する自身初の1―0完封をCS初登板でやってのけた。

 「いつも通り1イニングずつ、一人一人と思って投げました。1つのアドバンテージはあるけど、絶対に勝ってやろうと思っていました」

 今季最多1万7915人が詰めかけた球場でCS史上最短時間となる2時間23分での完封劇も、中身は濃密だった。4回まで毎回安打を許したが、いずれも単打で連打は許さず。最速157キロの直球に150キロ前後のフォーク、遅いカーブを要所で織り交ぜた。4回無死一塁からレアードの中飛を含め打者18人連続アウトで「スミ1完封」を成立させた。

 レギュラーシーズンを15連勝で締めたが、最後に黒星を喫したのが、この日と同じ京セラドームでの5月19日のロッテ戦。6回6失点で敗戦投手となって以降、初の対戦でリベンジし自身の連勝を「16」に伸ばし、中嶋監督も「もう山本、山本、山本。さすがの投球ですね」と破顔した。

 剛腕の土台は、実は精密機械のように繊細だ。「いい投球をした試合は、そのイメージが残る。次週もそのイメージで“同じように足を乗せて”と動いても、考えて動く分、タイミングが合わなかったり、1週間あるとすごいズレが出て、どんどん崩れていく。だから、いい投球をしても次週に向けて一から調整し直さないといけない」。体調やメンタルなど日々変化する超微細な“揺らぎ”も許さない緻密な調整が快投を生んでいる。

 日本シリーズ進出まであと2勝。「今日の1勝はデカい。とにかく日本一で終われるように全力で投げたい」。ポストシーズンでも、背番号18が、すさまじい存在感を放っている。(湯澤 涼)

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