大谷 60年ぶりに“クリーン”な聖域へ届くか パワーだけに頼らない技術武器に

[ 2021年7月9日 02:30 ]

ア・リーグ   エンゼルス5―4レッドソックス ( 2021年7月7日    アナハイム )

<エンゼルス・レッドソックス>5回、右越えソロを放った大谷は日本人シーズン最多本塁打記録を更新、観客も立ち上がって祝福する(撮影・沢田 明徳)
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 1927年に初めてベーブ・ルースが到達した60本塁打は、大リーグでは「聖域」とされる。達成者は過去5人だけ。ロジャー・マリスがルースの記録を塗り替えるのに34年がかかった。そのマリスから37年後の1998年。マーク・マグワイアとサミー・ソーサの「世紀の本塁打争い」に全米中が沸いた。

 最終的にマグワイアは当時の大リーグ記録となる70本塁打をマークし、ソーサは66本。94年のストライキで人気が低迷していた球界を救い、英雄となった。98年から01年までの4年間、バリー・ボンズの大リーグ記録73本を筆頭に、ソーサが3度、マグワイアが2度、「聖域」に足を踏み入れた。しかし、当時は筋肉増強剤の規制がなかった、いわゆる「ステロイド時代」。このため3人は野球殿堂入りを果たしていない。薬物への取り締まりが厳しくなって以降、最も近づいたのは、17年のスタントン(マーリンズ、現ヤンキース)の59本だ。

 その「聖域」にエンゼルス・大谷が挑もうとしている。近年の「フライボール革命」のトレンドにマッチしたアッパースイングと、パワーだけに頼らない卓越した技術で本塁打を量産。それを投手との「二刀流」でやってのけている。

 マグワイアは60本塁打した時「人々の盛り上がりは信じられない。野球場だけではなく、街中の人々が熱狂している」と話した。今回、大谷が60本に近づけば、それ以上の狂騒曲が予想される。薬物の力を借りずに「聖域」に足を踏み込めば、マリス以来、ちょうど60年ぶりとなる。(奥田秀樹通信員)

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2021年7月9日のニュース