ソフトB・三森 プロ5年目大ブレーク秘話 独特のバット担ぐ打法は「芯で捉えること」を意識し生まれる

[ 2021年7月9日 05:30 ]

打撃の成長が期待される三森
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 “三森スタイル”と称される独特な打法で安打を重ねるリードオフマンがいる。ソフトバンクのキーマンに迫る「どこまでも鷹(たか)く!」。今回は1番打者として活躍中の三森大貴内野手(22)に注目した。6月上旬の1軍昇格から25試合に出場し打率・289をマーク。プロ初の1試合4安打を記録するなど、プロ5年目でブレーク中だ。レギュラー定着を目指して奮闘中の22歳を直撃した。(取材・構成=井上 満夫)

 ――今季途中から1軍に昇格し、25試合に出場。ここまでの手応えと課題は。

 「2軍でやってきたことが、少しは出せたかなと思うし、それを続けていけたらなと思います。1番打者で出させてもらい、どうやったら出塁できるか、安打だけではなく出塁面を求めていけたらなとも思っています」

 ――打線が調子を落としていた中、6月10日の広島戦で自身初の4安打。22日のロッテ戦では、本塁打が出れば初のサイクル安打だった3安打の活躍。打撃の良化はいつから。

 「6月4日に1軍に上がってきた時に打てずに、小久保ヘッドに“2軍でやったことを出せ!”と(言われた)。しっかりやってきたことを出そうと思えるきっかけになったと思います」

 ――1番打者の役割は何と考えるか。

 「後ろにいい打者がたくさんいるので、出塁すれば得点のチャンスは広がる。そうすればチームは勝つ方向に進む。まずは後ろにいい場面をつくれるようにとは思っていますね」

 ――ここまで6盗塁。走塁面の意識は。

 「そこもアピールポイントなので、チャンスがあればどんどん走る。足でもみせたい」

 ――目を引くのが個性的な打ち方。バットを担いだ後に柔軟に振って対応している。

 「去年、開幕1軍から2軍に落ちて、そこから徐々にバットを担ぐスタイルになった。球の芯にバットの芯をよりコンタクトできるかを考えた時、あの形となった。芯で捉えるとヒットゾーンに強い打球が行く」

 ――ここまで28安打をマーク。打撃好調を感じ取るシグナルは。

 「中堅方向を狙ってきたので、中前打が出れば。思ったよりも自分の打撃はできている」

 ――周東、牧原大、川島ら二塁手のライバルが多い中、こだわりたい部分は。

 「今、出させてもらっている中で、しっかりアピールを積み重ねるしかないと思う。2軍でやってきたことを出していけば出続けられるチャンスは得られる。毎週毎週、やってきたことを出すだけ」

 ――約2週間後に東京五輪も始まる。楽しみにしている競技は。

 「時間があれば海外サッカー動画を見ているので、楽しみ。あとは陸上競技の100メートル走は、見たいと思う」

 ――グラウンド外でのリラックス法は。

 「オフは自宅でゆっくり。もともと外に出るタイプではないので、妻と家で、ゆっくりしていますね」

 ――今後の目標は。

 「試合に出続けることが一番。そのために毎試合、毎試合やっていくしかない。数字というよりは、1軍で出続けるというのが目標です」

 ○…三森に対する評価は日増しに上がっている。小久保ヘッドコーチは「(1軍に)上がってきた初日はくしゃくしゃでセカンドゴロばっかりで“何しとんじゃ!2軍でやってきたこと出せ。同じ失敗をするな”って言った。1番らしい1番。あのスタイルで良くなったね」と成長に目を細める。同ヘッドは独特なバッティングに興味を抱いた王貞治球団会長から「三森というのは面白い打ち方するね」と声を掛けられたという。小久保ヘッドは「お子さんはまねしないように。難しいと思います」とユーモアを交えて話した。

 ◇三森 大貴(みもり・まさき)1999年(平11)2月21日生まれ、埼玉県越谷市出身の22歳。青森山田中から青森山田高に進み、16年春の甲子園に出場。同年ドラフト4位でソフトバンク入団。19年4月18日のロッテ戦で1軍デビュー。19、20年は1軍で24試合出場。昨季はウエスタン・リーグの首位打者にも輝いた。1メートル86、73キロ。右投げ左打ち。

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