“大逆転マジック”茨城・土浦一がコールド勝ち 昨年11月に逝去した木内幸男氏に白星届ける

[ 2021年7月9日 14:24 ]

第103回全国高校野球選手権 茨城大会 1回戦   土浦一14―7八千代 ( 2021年7月9日 )

<高校野球茨城大会 土浦一・八千代>8回コールドで八千代を破りベンチに戻る土浦一ナインら(撮影・郡司 修)
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 茨城の取手二、常総学院の監督として春夏通算3度の甲子園優勝を果たした名将・木内幸男氏の母校・土浦一が八千代に14―7で8回コールド勝ちし、1回戦を突破した。昨年11月に同氏が亡くなって以降、公式戦初となる勝利を大逆転で挙げた。

 13安打14得点の猛攻で一時は6点差を逆転する“マジック”で天国の木内氏に勝利を届けた。柴沼剛己監督は「1点ずつ取れば追いつけると話していた。3年生が中心となり、もぎ取った勝利です」と喜んだ。 

 3―7で迎えた5回に1点差に迫ると、2死一、二塁から1番・松本岳朗(3年)が左前に運ぶ同点打を放ち、左翼手が弾いた隙に、一塁走者も生還して逆転に成功した。

 リードを1回途中から救援登板した1メートル65の右腕・鶴町開(3年)が7回1/3を3失点(自責点1)の好投で守りきった。打っては3安打6打点と投打に渡る活躍を見せ「自分のやるべき仕事を全うできた」と胸を張った。

 木内監督が夏の甲子園で優勝した2003年に生まれた茨城・土浦市出身の男は「木内イズム」を胸に刻む。「物心ついたときから常総学院の大ファン」。小学生の頃は常総学院の練習見学に通い、名将が選手に送る状況に応じたアドバイスに耳をすまし「木内マジックを実感しました」。憧れの木内氏の母校で背番号20番を背負い「伝統校のユニホームを着ることができてうれしい。誇りに思います」と目を輝かせる。

 木内氏は大胆な用兵や戦法を駆使した「木内マジック」で監督として甲子園通算40勝を挙げた。直球が120キロ台前半の鶴町は握りを変えてスライダーの曲がり幅を変幻自在に変える“マジック”で八千代打線を幻惑。2回は3失点したが、3回以降は1安打無失点に封じる快投を見せ「仲間を信じて、打たせることができた」と笑顔を見せた。

 全国模試では日本史で満点を取り、偏差値86を記録したこともある秀才は「将来は球団経営をしたい」と壮大な夢を持つ。57年以来64年ぶりとなる甲子園出場のためには、木内氏が率いた常総学院ら強豪の壁があるが「自分たちは今日の試合で勢いが出る。一戦一戦成長できる。成長した状態で強豪と戦いたい」と力強かった。(柳内 遼平)

 ◇鶴町 開(つるまち・かい)2003年12月6日生まれ、茨城県土浦市出身の17歳。土浦第六中出身。憧れの選手は中日・谷元。1メートル65、68キロ。右投げ右打ち。

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2021年7月9日のニュース