県岐阜商・松野 祖父と父“3世代の涙”を成長の糧に

[ 2021年3月24日 05:30 ]

第93回選抜高校野球大会第4日第1試合 1回戦   県岐阜商0ー1市和歌山 ( 2021年3月23日    甲子園 )

<市和歌山・県岐阜商>7回、2番手で登板した県岐阜商・松野(撮影・後藤 大輝)
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 【お帰り!春球児】こんなことってあるのだろうか。ゲームセットを告げる無情のサイレンが響く。まさかの幕切れに、県岐阜商の背番号10・松野匠馬がただぼう然と立ち尽くしている。その姿をアルプス席の祖父と父が見つめていた。

 「自分のふがいないピッチングで負けてしまって悔しい」

 サヨナラ打は中前に抜けた。7回から登板して力投を続けていたが9回1死一、二塁で内角を狙った直球が甘く入った。昨夏の交流試合に続き、3世代の夢を乗せた甲子園でのプレー。大会前に右肘の張りもあり、本来の力を発揮できなかった。

 祖父・勝治さん、そして父・文治さんも同校OBでともに甲子園出場。外野手だった勝治さんから「甲子園は人生を変える場所」と教えられ、控え捕手だった父には高校進学の際に「周りの目もあるけど頑張れ」と励まされた。それにしても不思議な運命だ。祖父は61年夏の準決勝でこの日と同じ和歌山勢の桐蔭にサヨナラ負けを喫し、父も92年夏の3回戦で東邦(愛知)に同スコアの0―1でサヨナラ負け。3世代で同じ悔しさを味わったことになる。

 でも、匠馬には夏がある。「祖父と父と3人で甲子園に出られたのはうれしいけど、実力が足りなかった。夏は直球でコースを突けるようにしたい」。サヨナラ負けだって成長の糧になる。甲子園の教訓は、3世代で受け継がれていく。(秋村 誠人)

 ◆松野 匠馬(まつの・たくま)2004年(平16)1月17日生まれ、愛知県春日井市出身の17歳。大手小1年から「上条スポーツ少年団」で野球を始める。6年時にドラゴンズジュニアに選出され、12球団トーナメントで優勝。鷹来中では愛知名港ボーイズに所属。県岐阜商では1年春から背番号18でベンチ入り。最速148キロに変化球はスライダー、カーブ、カットボール、チェンジアップ、フォーク、高速シンカーを操る。1メートル81、80キロ。右投げ右打ち。

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