10・8は巨人の日!受け継がれる「右の4番」の系譜 岡本キング25号V弾「最高の結果」優勝M14に

[ 2020年10月9日 05:30 ]

セ・リーグ   巨人9-7DeNA ( 2020年10月8日    東京D )

<巨・D>初回2死二塁、井納から先制の右越え2点本塁打を放つ岡本(撮影・木村 揚輔)
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 伝説の日に、4番らしい一発だ。巨人・岡本和真内野手(24)が8日のDeNA戦で、初回に先制の右越え25号2ラン。本塁打リーグ単独トップに立ち、優勝マジックを14へと減らす快勝につなげた。94年の「10・8決戦」で右越えに先制弾を放った4番・落合博満の打撃を思い起こさせる逆方向への先制弾。長嶋茂雄、原辰徳と右の生え抜き4番打者の系譜を継ぐ若武者が、特別なシーズンを制すべくアーチを量産する。

 巨人にとって特別な日に強烈な一発を放ったのは、やはり4番だった。26年前、94年の10月8日。同率首位の巨人と中日が激突した「10・8決戦」。球史に残る一戦が行われた当時、生まれてさえいなかった岡本が、先制弾を叩き込んだ。

 「得点圏にランナーがいたので、何とか先制点をと思っていた。ヒットでもいいなと。それが最高の結果、ホームランになってくれてよかった」

 初回2死二塁。球団89代目の4番が右翼席最前列に飛び込む2ラン。井納の低め148キロ直球をはじき返した。見逃せばボール球。スタンドまで運ばれたら、相手バッテリーはたまらない。「自分が打てると思ったら打ちにいく」。数字には表れないショックも与える。巨人の4番として風格も漂わせた。

 26年前のこの日も、先制弾は4番から生まれた。2回に60代目の落合が相手エースの今中から右越えソロ。持ち味である逆方向への放物線を描いた。主導権を握り、優勝へと導いた。3度の3冠王にも輝いた男と岡本は、練習法も重なる。

 新型コロナウイルスの影響で個人調整期間中だった4月。3日連続でスローボール打ちに励んだ。落合も現役時代に取り入れていたメニュー。1時間も山なりの遅球を黙々と打ち返した。「慌てて打ちにいってしまう感じがあったので」。目的はどっしりと構えて待つこと。体が突っ込み気味なのを察知。軸足である右足にグッと体重を残して打つことを繰り返した。

 しっかり軸足に乗せたパワーをぶつけ、9月30日以来、8試合30打席ぶりの25号。並んでいた阪神・大山を突き放して単独トップに再び躍り出た。「タイトルは意識していない」と話すが、独走中の76打点と合わせ、リーグ単独2冠。25代目の長嶋終身名誉監督、48代目の原監督ら右の4番の系譜を受け継ぎ、チームを引っ張る。

 ミスターの「勝つ、勝つ、勝~つ!」の言葉に奮い立って94年の「10・8」を戦った原監督には「本人も気分良く、いいホームランだったと思います」と称えられた。「一試合一試合、勝ちに貢献できるように頑張ります」と岡本。巨人の中心には、ここぞで打つ頼もしい24歳がいる。(青森 正宣)

 <国民的行事>
 69勝60敗の同率首位でシーズン最終戦を迎えた巨人と中日が激突。勝った方がリーグ優勝で長嶋監督が「国民的行事」と称した史上初の最終日決戦は2回に落合が先制ソロ。中日が4連打などで同点としたが3回に落合が勝ち越し右前打を放った。4回には村田、コトーの一発攻勢5回には松井の20号ソロで加点。「5番・三塁」で先発出場した原は1安打1四球。負傷した落合に代わり一塁に入った。
 投げては槙原―斎藤―桑田の先発3本柱の継投で逃げ切り6―3で勝利。4年ぶりのリーグ制覇を果たした。

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