巨人・戸郷 雨にも動じず 見習いたい有事への落ち着きや心構え

[ 2020年7月22日 09:30 ]

3勝目を挙げ、ポーズをとる巨人・戸郷
Photo By 共同

 小、中、高校と野球部に所属していたが、雨で試合や屋外での練習が中止になると「これで、今日の練習は軽くなる」、「早く帰れるぞ」などと喜んでいた。ハードな練習の合間の雨はまさに天の恵みだったように思う。

 しかし、今季のプロ野球に関して言えば、新型コロナウイルス感染拡大の影響で3カ月遅れた開幕で、雨が必ずしも恵みとは言えなくなっている。巨人は今月7、8日の阪神戦(甲子園)が雨天中止に。日程が変更され、9月は13連戦、10月は10連戦となることが決定した。9月1日から10月18日までの48日間で、44試合を消化する超過密日程となった。

 原監督は相手の先発投手の左右でスタメンを変えたり、主力を積極的に休ませるなど異例のシーズンとなった「20年型」の戦い方を披露している。「けが人が出てから考えるんじゃなくて、けが人を出さないような使い方をしないとね」と先を見据えた采配で首位を快走している。

 そんな中、先発ローテーションでもっとも雨の影響を受けたのが戸郷だ。先発予定だった7日阪神戦と10日ヤクルト戦が雨天中止に。次の15日のマツダスタジアムでの広島戦に登板するまで実に中14日空いた。この日も試合中に雨が降ったり止んだりの悪条件の中、6回2安打無失点で球団初となる高卒2年目以内の開幕3戦3勝を飾った。試合後、戸郷に雨の中での試合への心境やマウンド状態を聞くと「そんなに悪くなかったですけどね。まあ一つ良い経験になりました」とさらっと言った。

 風邪を引いて学校を休んでも「野球の練習には行きたい」と家族に言っていたほどの野球大好き少年。小学生の時の人生初めての試合が雨で中止になり「球場に行ってそれでも願ってたけど、中止と言われた瞬間へこんだ」という。そのエピソードを聞き、学生時代に雨の球場に着くといつも中止を願っていた自分が恥ずかしくなった。30歳を超えた今、その有事への落ち着きや心構えを20歳の右腕から見習いたいと思う。(記者コラム・田中 健人)

続きを表示

この記事のフォト

2020年7月22日のニュース