泣いている姿が良く似合う…東京五輪Vで「稲葉ジャンプ」が起こらないかな

[ 2019年11月19日 10:30 ]

ウィニングボールを手に笑顔を見せる稲葉監督(撮影・森沢裕)
Photo By スポニチ

 「泣き虫あっちゃん」の本領だなと、うれしく思った。17日に行われた「プレミア12」の決勝で、侍ジャパンが韓国を破って世界一に輝いた。9回に守護神・山崎が最後の打者を空振り三振に仕留めると、稲葉篤紀監督は両手で顔を覆って号泣した。

 幼少期は泣き虫だったという指揮官。現役時代は2167安打をマークし、数々の修羅場にくぐり抜けてきたが、そんなキャリアからは想像できないほど、穏やかな性格だ。その人柄を一言で表すならば「とてもいい人」だと思う。

 そもそも、怒ったところをほとんど見たことがない。そして気遣いの人。まずは自分のことよりも、他人のことを心配してしまうような人だけに、日の丸を背負う戦いの中で、どれだけ「鬼」になれるのだろうか。自分に厳しく、人に優しい男だけに、そんな部分を注目していた。

 それでも、決勝で先発・山口を1回で交代させたり、初戦のベネズエラ戦では日本シリーズから調子が上がらなかった坂本勇に代打を送るなど、勝負に徹する采配が的中した。

 日本ハムの現役時代から盟友である金子誠ヘッド兼打撃コーチとの関係性も抜群なのだろう。現役時代の金子コーチのイメージはともかく「あまのじゃく」。人に何か言われると、まずは反対のことを考えるような人だった。例えば、打席での狙い球の割り切り方も、とても上手だった。自分の意見もズバリといえるタイプだった。

 稲葉監督は周囲の意見に耳を傾けられるところが最大の長所だと思う。そんな指揮官に金子ヘッドは最適な参謀なのだろう。それにしても、泣いている姿が良く似合う指揮官だ。まるでラグビードラマの「泣き虫先生」みたいに感じた。東京五輪で金メダルをとったら、球場で「稲葉ジャンプ」が起こらないかな、なんて勝手に思っている。(記者コラム・横市 勇)

続きを表示

この記事のフォト

2019年11月19日のニュース