侍ジャパン世界一!スポニチ本紙記者が見たターニングポイントとは

[ 2019年11月19日 08:11 ]

侍ジャパン プレミア12優勝

メキシコ戦の初回2死一塁、右前打を放つ外崎
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 侍ジャパンを取材したスポニチ本紙記者たちが、世界一に輝いたターニングポイントを独自の視点で挙げた。

 【スーパーRメキシコ戦 鈴木勝巳】お手本のような右打ちだった。13日のメキシコ戦の初回、1点を先制した直後の2死一塁で5番・外崎は右前打を放った。好機を広げ、続く近藤が中前適時打。2死からの追加点は相手に大きなダメージを与えた。外崎の「つなぎの精神」が生きた。1次ラウンド3試合で出場は1打席のみ。それでも金子ヘッド兼打撃コーチは「どうしても必要な存在」と強調。本人も腐らず、「役割をしっかり考えていた」と献身的な姿勢を貫いた。スーパーラウンドでは2試合で先発出場。内外野を守れ、つなぎだけでなく長打も打て、盗塁もできる。東京五輪でも欠かせない存在だ。

 【スーパーR豪州戦 春川英樹】稲葉監督も「まさか」と振り返ったひらめきだった。11日のオーストラリア戦。1―2の7回2死三塁から今大会初先発だった源田が投前へセーフティーバント。三塁走者・周東が好スライディングで同点の生還する野選となった。「死ぬ気で走った」と一塁へヘッドスライディングした源田は「相手の守備が深い。普通に打つのとどちらが確率が高いか考えた」と説明。「周東もビックリしたと思う。でも彼は凄いっす」と周東の足を称えたが、このアイデアが8回の勝ち越しに直結。スーパーラウンド初戦勝利と、チームに勢いを呼び込む好判断だった。

 【スーパーRベネズエラ戦 後藤茂樹】稲葉監督の執念と覚悟がのぞいた。5日の1次ラウンド初戦ベネズエラ戦。2点を追う8回1死満塁で、日本シリーズからの不振を引きずる1番・坂本勇に、同じ右打者の山田哲を代打で送った。今季両リーグ最多110の四球王は押し出し四球を選び、逆転勝利につなげた。「苦渋の決断でした」と指揮官ははき出した。昨年の日米野球初戦では、4番山川に代打・会沢を送り逆転勝ちを呼んだこともある。情と非情の間で、最後に優先するのは勝利至上。指揮官の覚悟はチームに伝わった。決勝戦も初回3失点で先発・山口を降板させた。いずれも試合の流れを引き寄せる勝負師のタクトだった。

 【スーパーRベネズエラ戦 川島毅洋】大げさに言えば「今大会の流れを変えた1球」だった。11月5日、1次ラウンド初戦のベネズエラ戦。2―4で迎えた8回。今回の代表ではルーキーで唯一、選出されていた甲斐野がマウンドに上がった。直球で2死を奪い、8番マチャドはフォークで空振り三振に斬った。「追い込んだので三振を狙った。流れを持ってこられるように」と堂々とベンチに戻った。直後に打線が6点を挙げ、逆転勝ち。自身にも白星が付いた。ソフトバンクではシーズン途中に抑えも務め「プロでやってきた経験が生きた」。侍ジャパンでも欠かせない戦力だった。

 【スーパーRメキシコ戦 湯澤涼】絶妙のタイミングだった。13日メキシコ戦、3―1の8回。簡単に2死を奪った山本は自らの失策で走者を許した。次打者ジョーンズは4回に今永から左ソロを放っていた。「一発を浴びれば…」。波打つ動揺を消し去ったのが三塁手・松田宣の言葉。「“当たっている打者だから気をつけていこう”と言ってくれて落ち着いて投げられました」。空振り三振。展開次第では自力での決勝進出を逃す局面で、最年長野手の行動に救われ盤石の勝ち継投を担った。国際大会で経験を積んだ21歳は先発、抑えも可能。東京五輪の切り札になる。

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