ソフトB摂津「後悔も悔いもなし」忘れない復活勝の声援

[ 2019年1月9日 05:30 ]

(左から)妻・苑子さん、娘・衣麻ちゃんから花束を受け取り笑顔の摂津(撮影・岡田 丈靖)
Photo By スポニチ

 ソフトバンク・摂津正投手(36)が8日、ヤフオクドームで会見し、現役引退を表明した。2012年には沢村賞を獲得するなど中継ぎ、先発で通算79勝を挙げた右腕は、10年間のプロ生活を振り返り、晴れやかな表情でユニホームに別れを告げた。今後は未定ながら、将来的には指導者として現場復帰に意欲を見せた。

 吹っ切れた表情だった。スーツ姿で会見場に姿を見せた摂津は「短い選手生活だったが満足している。後悔も悔いもなく終わることができた。こういう形で会見を開いてもらって球団に感謝している」と語った。

 中身の濃い10年間だった。26歳でJR東日本東北からドラフト5位でプロ入りし、ルーキーイヤーから2年連続で最優秀中継ぎ投手のタイトルを獲得。先発転向後は5年連続2桁勝利を挙げ、最多勝や沢村賞も受賞。チームのエースとして5度の日本一を経験した。「どんなにダメでも自分には伸びしろがあると、プラス思考で。自分には才能があるわけではない。コントロールだけは誰にも負けないと思ってやってきた」と振り返った。

 抑えても、打たれても、マウンド上では表情を変えない鉄仮面を貫いた。「平常心をモットーに喜怒哀楽を出さないことを心がけてきた」。近年は思うような投球ができず、苦しいシーズンが続いたが、昨年5月22日の西武戦(ヤフオクドーム)では618日ぶりの復活勝利。お立ち台で涙を流した。最も印象に残った試合に、この登板を挙げ「今までに味わったことのない声援をもらった。一つ勝つのがこんなに大変なんだと再確認した」とファンに感謝した。

 思いは後輩に託す。若手へのメッセージを求められると「自分を磨くことも大事だし、信念を持ってやってほしい」とエールを送った。今後は未定ながら、将来的には指導者としてチームを支える目標がある。「チャンスとタイミングだと思う。(機会が)あればやってみたい」と意欲を見せた。

 【ソフトバンク・摂津との一問一答】

 ―現在の心境は?

 「意外とスッキリしている。野球と離れて、寂しさとかはこれからだと思う」

 ―10年間の現役生活を振り返って。

 「スタートからうまくいきすぎたと思う。(10年は)あっという間。10年やれるとは思っていなかった。がむしゃらにやった。好きな投手は松坂さんで、ああなりたいと思って高校からやってきた」

 ―入団時の思い出は?

 「凄いスター選手ばかりで、とんでもないところに入ったなと。普通に練習していたらダメだと。死ぬ気でやらないと、と思ってスタートした」

 ―最近3年間は苦しんだ。

 「活躍もあったし最近はダメだったが、いろいろな選手の気持ちになって物ごとを考えられるようになった。意味のある3年間だった」

 《OP戦中に引退セレモニープラン》三笠杉彦球団統括本部長は、オープン戦中に摂津の引退セレモニーを行うプランを明かした。「どういう形がいいか本人と話しながら。ファンの前でそういう場を持ってもらえたら我々もうれしい」と話した。将来的に指導者として球団に戻ることを期待し「どういう可能性があるか継続して話したい」と説明した。

続きを表示

2019年1月9日のニュース